https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171220-00000104-mai-soci
2015年12月の東京・池袋駅前。東北地方に住む当時18歳の女性(20)は、雑踏の中でまだ会ったことのない男の姿を捜していた。
スマートフォンに送られてきた写真を頼りに、行き交う男たちの顔を追う。
目が隠れるほど前髪を伸ばした暗い感じの男を見つけ、恐る恐る声をかけた。「隆浩さんですか?」。その日から、白石隆浩容疑者(27)との同居生活が始まった。
女性は福島県で生まれ育った。中学生だった11年3月、東日本大震災による原発事故が起き、家族で東北地方の別の県に避難した。
だが、父親は残してきた祖母の世話があるなどと言って福島に戻り、姿を見せなくなった。母親も夜の接客業に就き、家を空けるようになる。
「お父さんはうそつく人。お母さんは彼氏いるし」。知り合いが少ない土地で、家にも居場所がなくなった。
高校卒業後に進学した専門学校にもなじめず、すぐに退学してアパートで1人暮らしを始めた。
「親友」になってくれた女性に「面接に付き合って」と頼まれ、地元の風俗店に足を踏み入れた。
店側に押し切られて働き始めると、簡単にお金が手に入った。
1週間ほどでトラブルに巻き込まれ、やめようとすると経営者に脅された。
親には相談できず、東京に逃げようとネットで働き口を探すうちに、風俗店の女性のスカウトをしている白石容疑者とつながった。
「夜の仕事しないで俺の家にいてよ。タイプだから」。池袋駅前で会った白石容疑者は口がうまかった。
「家出同然で頼れる人もいないし、怖いけど、まあいいか」。
女性はそのまま、白石容疑者が借りていた池袋のマンションに向かった。それが15年12月だった。
2人になると「大丈夫、俺が守る」とささやき、「好き」「愛している」と言っては、女性を抱きしめた。
両親が別居し、「家族のこと、あんまり好きじゃない」とこぼしたという白石容疑者。
一緒にいると落ち着き、いつか池袋の街を見下ろすタワーマンションで暮らそうと約束した。
女性のスマートフォンには、どんな家庭にしたいか告白し合ったメッセージが残る。
「忙しくても出来るだけ一緒にいたい」(白石容疑者)
「あったか なかよし らぶらぶ」(女性)
そんな同居生活も半年間で終わった。「この女、ブスすぎ」。白石容疑者は風俗店に派遣する女性たちの写真を見せながら、悪態をつくようになった。
自分と同じような環境で生きる女性を見下す態度に「変わっちゃった」と感じ、部屋を飛び出した。