塾講師の富田孝二郎(47)は独身時代、その生活を大いに楽しんだ。ギャンブルに明け暮れ、もうかったらフーゾクで女を買い、足りなくなればサラ金から金を引っ張るという生活を20年以上も続けていた。月々の金利を払えばサラ金は文句を言ってこないので、自分の生活に問題があるとは露ほども思っていなかった。
一時は借金が500万円を超え、さすがに弁護士に相談。しかし、グレーゾーン金利撤廃による過払い金清算で富田の借金は一気に減り、月々の返済もかなり楽になった。
そんな富田だったが、30代後半になると結婚願望が芽生え、知人の紹介で知り合った薬剤師の妻と38歳で結婚。一男二女に恵まれ、遅咲きの家庭生活というものを味わった。
だが、富田は独身時代の借金がまだ200万円ほど残っていることを隠していた。独身のときは自分の稼ぎから返せばよかったが、妻に財布のひもを握られてからはそうはいかない。
ギャンブルで一気に返済しようとするバカな試みを繰り返し、ますます借金を増やし、ついには勤務先の塾で横領を始めた。
事件の半年前、それがバレて懲戒解雇処分になった。刑事訴追だけは免れたが、それと同時に往年のウソが妻にバレてしまった。
妻には離婚を切り出されたが、「頼む、後生だ。別れたくない。自分で作った借金は自分で返す。見ていてくれ」と言って、スーパーのレジ打ちやコンビニの深夜バイトなど、それこそ寝る間も惜しんで働いた。
だが、それでも手取り30万円にしかならなかった。そのうちの10万円を借金返済に回すと、とても一家5人では食べていけない貧困ぶり。妻は再び離婚を切り出し、「もう私が働く。アンタのためじゃない。子供たちのためだから」と言われ、富田は家事と育児をこなす“主夫”になった。
この分だと高給取りの妻に押し切られて自分が捨てられてしまう。何とかして自分の借金を片付けなくてはならない。富田はその方法を必死で模索した。
「そうだ。金持ちの女子大生を強姦して写真を撮り、その親から『写真をバラまくぞ!』と言って脅し取ったらどうだろう。親は子供のためならいくらでも金を出すものだ」
富田は仕事柄、一人暮らしの名門女子大生が住んでいるアパートの密集地帯を知っていた。事件の1カ月前から偵察を始め、ホームセンターでナイフ、手袋、ガムテープなどを購入。女子大生の下宿先に押し入って強姦し、その親から金を脅し取るという極めて悪質な犯行計画を練り始めた。
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