【ジャコバ(コソボ西部)で松井聡】バルカン半島のコソボが近年、観光振興に力を入れている。中世のキリスト教会などの
世界遺産や、山や湖などの自然を生かして観光客を誘致したい考えだ。2018年2月で独立宣言から10年を迎えるが、
コソボ紛争の印象が集客の足かせとなっており、イメージの転換が課題だ。
世界遺産、自然 誘致に力
11月中旬、コソボ西部ジャコバを訪れた。紛争で中心部の約9割が破壊され、約1500人が死亡した激戦地だ。
中心部には幅20メートルほどの石畳の通りが数百メートル続いており、その両脇には真新しいホテルやレストランが並ぶ。
米政府機関の支援で再建され、紛争の爪痕は感じられない。
政府は、世界遺産の教会があるジャコバ近郊のペヤや周辺の山々を含めた地域一帯を観光の柱にしたい考えだ。
だが、16年にジャコバを訪れた外国人観光客はわずか約8000人。国全体でも約8万3000人にとどまる。
同じ旧ユーゴスラビアのクロアチアには15年に約1300万人が訪れた。
「紛争のイメージが払拭(ふっしょく)されず、客足が伸びていない」。ジャコバ観光事務所のラフマニ所長はこう語る。
コソボは09年から欧州各地で開催される観光博覧会に出展するなどしているが、本格的に国を挙げて力を入れ始めた
のは15年からだ。
日本からバルカン半島へのツアーを企画する山崎エレナさん(46)は「紛争前から観光業が盛んだったクロアチアですら、
紛争のイメージ払拭に時間を要した。コソボの観光業はまだ始まったばかりで、軌道に乗るには時間がかかる」と話す。
コソボへの定期便を運航するターキッシュエアラインズ(トルコ)の営業担当、アブドゥラーフ氏は「コソボの文化遺産と
自然は世界的に見ても魅力的。認知度が高まれば人気が出るはず」と語る。
https://mainichi.jp/articles/20171128/k00/00e/030/231000c