銀河中心の超大質量ブラックホール合体による重力波、今後10年以内に観測か
マックスプランク研究所、カリフォルニア工科大学、バーミンガム大学などの国際研究チームは、
銀河の中心に存在していると考えられる超大質量ブラックホール同士が合体することによって生じる
重力波を今後10年以内に観測できる可能性があるとの予測を発表した。研究論文は「Nature Astronomy」に
掲載された。
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ふたつのブラックホールの合体によって発生した重力波(重力の作用による時空間の伸び縮みがさざ波の
ように宇宙を伝わっていく現象)は、米国のレーザー干渉計重力波観測所(LIGO)で2015年9月に初めて
観測され、その後2015年12月、2017年1月、同年9月にも観測されている。重力波の存在は、一般相対性理論に
もとづいてアインシュタインが約100年前に予言していたものであり、この成果に対して2017年のノーベル
物理学賞が与えられている。
これまで観測された重力波の発生源となったブラックホールは、太陽の数十倍程度の質量をもっていると
考えられている。これに対して、天の川銀河を含む多くの銀河の中心に存在しているとされる超大質量
ブラックホールの質量は、太陽の数百万倍から数十億倍といった桁違いに巨大なものである。
(略)
研究チームは今回、超大質量ブラックホールのペア(ブラックホール連星系)を宿している可能性がある近傍の
銀河をリストアップし、これを近傍にあるパルサーの分布図とつき合わせることで、超大質量ブラックホール合体に
由来する重力波を観測できる確率がどの程度あるかを計算した。その結果、今後10年以内という短い期間に
実際にこうした重力波を検出できる可能性があることがわかったとしている。
また仮に、今後も超大質量ブラックホールの合体に由来する重力波が検出されない場合には、その理由が
「ファイナルパーセク問題」と呼ばれる宇宙物理学上の問題に関係しているとも考えられている。
ファイナルパーセク問題とは、銀河中心の超大質量ブラックホールのペア間の距離が1パーセク(約3光年)程度まで
近づくと、周囲の星との力学的関係から、お互いにそれ以上近づいて合体するのに宇宙年齢よりも長い時間が
かかるようになってしまうため、事実上ブラックホール同士が合体することはなく連星系のままとどまるとする
理論である。超大質量ブラックホール同士の合体に由来する重力波が実際に観測できるかどうかによって、
ファイナルパーセク問題に関する検証も進むと期待できる。
http://news.mynavi.jp/news/2017/11/24/222/