http://www.sankei.com/smp/west/news/171125/wst1711250005-s1.html
生死を超えた純愛か、それとも異常な性愛なのか。大阪府枚方市の民家で11月、なんとも奇妙な事件があった。体調不良になった交際相手の女性に医師の診断を受けさせなかったとして、この家に住む警備員の男(48)が逮捕された。
発見時、女性はすでに布団の中で冷たくなっていた。男の供述によれば、少なくとも5日間は遺体と添い寝をして、夜を明かしていたという。「どうしたらいいか、分からなかった」。物言わぬ女性の横で、男は何を考えて眠り、朝を迎えていたのか。(桑村朋)
11月9日午前10時半、大阪府枚方市桜丘町。男の自宅を訪ねた知人は、玄関の鍵が開いているのに気がついた。
中に入ってすぐに居間がある。大きな布団が敷かれていた。知人が呼びかけると、男だけがムクッと起き上がった。横に寝ていたパジャマ姿の女性は、ぴくりとも動かない。知人はほどなく、その女性が死亡しているのに気がついた。
男はあわてたり、逃げようとしたりするそぶりを見せず、むしろ落ち着いていたという。知人の通報で消防、さらに警察が駆けつけた。
男はこの日の夜、女性を体調不良のまま放置したとして保護責任者遺棄容疑で逮捕された。「4日の夜には冷たくなっていた」。男はそう供述した。
死亡したのは、15年来の交際相手という大阪市平野区の44歳の女性だった。司法解剖でも死因は分からなかったが、捜査関係者によると、何らかの持病が悪化した可能性がある。
女性は頻繁に男の自宅に通っていた。今回は4日昼ごろに訪問。午後6時ごろに夕食を食べ、それから寝床についた。そして同9時ごろ、男は女性の体が冷たくなっているのを感じ取ったという。
女性が4日夜に死亡していたとすれば、男は5日間、遺体と添い寝をし続けたことになる。いくら交際していた相手とはいえ、常軌を逸した行動に思える。
近隣住民によると、男は10月に母親を病気で亡くした。よほどショックだったのか、男はそれ以降、仕事にも行かず、自宅にこもりがちになった。警察や消防が自宅に駆けつけたとき、遺骨はまだ手元にあったようだ。
母親の死亡から1カ月弱で、今度は交際相手まで失うことになった。「どうしたらいいのか」と、男は思考停止に陥っていた旨を供述している。そして男が選択したのが、女性が死んだままの状態で、いつものように寝起きするというモラトリアムだった。