森友問題 ごみ処分量過大と指摘も撤去費盛り込まず 会計検査院 資料破棄され

 8億円に上る国有地の値引きは妥当だったのか。学校法人「森友学園」(大阪市)の国有地売却問題ではごみの撤去費用が適正かどうかが焦点となったが、
会計検査院はごみの処分量が過大だったと指摘しながらも、妥当な値引き額が検査報告に盛り込まれることはなかった。
検査の過程では値引き額が最大6億円過大と試算していた。なぜ、具体的な金額を明示できなかったのか。

 「土地の評価は資格を持った不動産鑑定士が行うもので、国有地売却で検査院が指摘したことはなかった」。
検査院のある幹部はこう打ち明け、「評価の仕方はいろいろあり、適正かどうかの判断は難しい」と話す。

 国有地のごみ撤去費用を見積もったのは第三者の専門業者ではなく、国土交通省大阪航空局だった。
積算を依頼した財務省は、撤去作業が平成29年4月の開校時期に間に合わなければ損害賠償請求される恐れがあったためとしているが、
あまり例のない対応が疑念を招き、国会で野党が追及する事態にまで発展した。

 大阪航空局は、敷地の地中3・8メートルまでの深さに、ごみが全体的に47・1%の割合で混入しているとし、ごみ処分量を算出したが、
検査院は「ごみが出ていない場所を反映させないのは不合理」と指摘。処分費の単価も根拠がないとした。

 一方、検査の過程で値引き額を試算した検査院は、検査報告では撤去費用を明示しなかった。
ごみの処分単価の根拠となる資料が破棄され、検証できなかったためだ。
22日に検査結果を発表した検査院第3局の原田祐平審議官は「(試算の)仮定の置き方で処分量は変動する。
処分単価の内訳も分からず、責任をもって適正な金額を示せる状況ではない」と説明した。

 ただ、理由はこれだけではなさそうだ。関係者によると、処分費の積算をめぐっては、財務省や国交省と見解の相違もあり、
「積算額は前提条件や算定方法によってさまざま。一概に不適正とは言い切れない」(関係者)。
国有地の売却には公平性、透明性が求められるが、検査院の調査では、国有地が不当に値引きされた証拠は見つからなかった。

http://www.sankei.com/affairs/news/171122/afr1711220041-n1.html