「待望久しく、ありがたい」。学校法人「加計学園」(岡山市)の来春の獣医学部設置計画に認可答申が出された10日、
愛媛県今治市で誘致に取り組んだ地元関係者の間では安堵(あんど)が広がる一方、改めて選定手続きに疑問を呈する声なども上がった。
「公平公正な審査が行われたことを感謝する。宿願だった学園都市構想の達成まであと一歩のところまできた」。
今治市の菅良二市長は10日、獣医学部設置計画に認可を求める答申を歓迎した。
国家戦略特区での選定に批判が残っている点については「獣医学部が確かな実績を一歩ずつ作っていくことだ」と指摘した。
中村時広愛媛県知事も同日、記者団に「地元の人口増加や、公務員の獣医師不足対策にもなる。条件さえクリアすれば設置がふさわしいと考えてきた」と語った。
10年以上前から誘致に取り組み、今年7月の閉会中審査で選定手続きの正当性を訴えた加戸守行前愛媛県知事は、
産経新聞の取材に「申請から答申まで10年もかかり、『やれやれ』という思い。ギネスブックに載るのではないか」とユーモアを交えながら吉報に胸をなで下ろした。
今後については「教育環境が充実している欧米の獣医学部に伍(ご)していけるような日本の獣医学部のリーダーになってほしい」と期待を寄せた。
教育資源の分散につながるとして獣医学部の新設に難色を示してきた日本獣医師会(東京)は
「新たな獣医学部の教育が文部科学省の強い指導の下で国際水準に到達するものとなることを強く願う」との談話を発表し、今後の推移を見守る意向を示した。
一方、獣医学部の設置手続きに疑問を呈する向きもある。国家戦略特区で獣医学部設置が認められた過程について
「行政がゆがめられた」などと主張した文科省前事務次官の前川喜平氏は「答申があったからといって、直ちに文部科学省が認可すべきではない」と指摘。
その上で、「改めて特区諮問会議を開き、獣医学部の新設が閣議決定の4条件を満たすものか再確認する必要がある」とコメントした。
今治市では現在、市民団体が、ずさんな新設計画で同学園理事長が今治市から補助金をだまし取ったなどとして、
詐欺罪で松山地検に告発状を提出しているほか、市の第三者委員会も建築費の妥当性などを確認している。
http://www.sankei.com/life/news/171110/lif1711100052-n1.html