とはいえ、宗教改革自体が後世に多大な影響を与えたことに疑う余地はない。ロイターの特派員、エドワード・ハダス氏は、ルターの宗教改革により生まれたプロテスタントの信心深さが、
工業経済、大きな福祉国家、そして個人主義的消費者主義の基礎を築いたと述べる。北ヨーロッパが資本主義と政府による福祉の苗床となった理由は、3つのプロテスタントの教義にあると見ている。
1つ目は、ローマ法王という伝統的権威に頼るカトリック教会を拒絶し、聖書に宗教上の真理を求めよという考えだ。聖書を学ぶことで人々のリテラシーが高まり、物事を分析的に見ることが
できるようになった。新しいアイデアにもオープンになり、経済を再形成するのに必要なスキルや態度の創造にルターのアプローチが役立ったとしている。
2つ目は、救済は善行よりもむしろ信じることから来るという考えだ。これにより、施しとは教会が組織するものだという伝統的考えを捨てたため、プロテスタントの国々では次第に施しは政府の
責任となった。大きな政府というのはプロテスタントというよりは社会主義の考えだが、宗教改革が中世の教会中心の福祉から、現代の国家による福祉への移行を助けたとしている。
3つ目は、神の惜しみない恵みのみが救済をもたらすという考えだ。自分がアプローチできる日々の生活の中から神秘的な恵みの賜物を取り出すことは、資本主義の精神の奨励でもあり、
人々は懸命に働き、消費財を積み上げる。地上の行いでの成功は、神の恩寵のサインでもあるとされた。
https://newsphere.jp/national/20171108-2/