九州大学は10月27日、非常に低エネルギーである近赤外光を用いて、水から水素を発生させることに
世界で初めて成功したと発表した。

これを発表したのは、同大学大学院理学研究院/カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所
(WPI-I2CNER)/分子システム科学センターの酒井健教授、山内幸正助教、辻優太郎理学府修士
課程学生と山本啓也理学府博士課程学生らの研究グループ。

最近のエネルギー問題に対する有力な解決技術として、太陽光を用いて水から取り出した水素の
エネルギー利用は、クリーンで再生可能という点から盛んに研究が行われている。

ところが、これまでのモデルでは、波長が600nmまでの可視光領域しか利用できず、
十分に太陽光エネルギーを活用できていない実態だった。

そこで同研究グループは、光捕集分子として、分子内に3つのルテニウム中心を含有する金属錯体を
採用したところ、近赤外光を用いた水素発生反応に世界で初めて成功したもの。

これは従来モデルより約2倍の太陽光エネルギーの利用を可能にしたこととなり、注目すべき成果という。

また、天然の光合成でも利用が難しい長波長域の光についても、人工分子システムで初めて利用可能に
したことから、今後の実用可能な人工光合成システムへの応用が期待されるとしている。

なおこの研究成果は、2017年10月16日のドイツ学術誌「Angewandte Chemie International Edition」に掲載された。
また、近日中に確定版が掲載される予定とのこと。

http://www.excite.co.jp/News/science/20171102/Leafhide_eco_news_dZGD2Q0HEU.html