スズキ『バーグマンフューエルセル』は、水素で発電するFC2V(燃料電池二輪車)、国内唯一の
公道走行できるモデルだ。すでに18台がナンバーを取得して走っている。しかも、東京モーター
ショーで一般試乗できる。

オートバイにFC(燃料電池)を積むことは、それほど簡単なことではない。乗用車で可能なことは
二輪車でもできるだろうと思われがちだが、そもそもFCの冷却方式からして違う。

スズキは2003年、四輪車で燃料電池開発を初めて手掛けた。米ゼネラルモーターズとタッグを
組んだ方式は、乗用車ではスタンダードな水冷だった。2006年から二輪車では、軽量化と省電力、
省スペースを並立させることができる空冷こそ最適と考えた。

2012年には英インテリジェント・エナジー・ホールディングスと新会社「SMAILE FCシステム」を
立ち上げ、燃料電池のシステム開発を行い、燃料電池システムの内製化を実現。その地道な努力が、
国内で初めて型式認定を受けた燃料電池二輪車に結実したのだ。

しかし、発表された諸元は最高出力4.5kW/7650rpmで、最高速度75km/h、航続距離120km
(60km/h定地走行)と、ベースとなったガソリン車「バーグマン200」に比べて見劣りしたため、
スペックを期待する専門誌からは評価されたとは言い難い。それでも開発陣はこうした評価は
織り込み済みで、とにかく安定走行できるFC2Vを目指した。

「二輪車の燃料電池車は、当然四輪車も見据えてやっている。ご指摘の点は燃料電池ユニットだけでなく、
タンク容量やバッテリーマネージメントなどの見直しなどで改善できる。公道での試行で、
送稿パターン情報を収集し、自信をもって開発を続けている」と、開発本部横浜研究所の中島毅氏は語る。

スズキの自負を象徴するのが、東京モーターショーでの一般試乗だ。バーグマン フューエルセルは
展示会場にもあるが、試乗会場では他のガソリン市販車に混じって試乗できる。
それは、すでにスズキのFC技術が、誰でも乗ることのできるレベルまで来たことを示している。

ナンバー取得した18台は、福岡、静岡、神奈川の各県で一般企業にも貸し出されている。
その1台に触れることは、まさしく二輪車の未来に触れることになる。

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