米軍普天間飛行場所属のCH53E大型輸送ヘリが11日、東村の民間地に緊急着陸し、大破、炎上した。
最も近い民家から数百bの距離だという。許し難い事態である。
地域住民や乗員に死傷者が出なかったのは奇跡的だったが、繰り返される米軍機の事故に県民の怒りは増すばかりだ。
翁長雄志知事は「とんでもない話だ」と憤った。
安倍晋三首相は「大変遺憾だ。安全第一で考えてもらわなければ困る」と述べ、米側に原因究明と再発防止を申し入れるよう指示した。
12日には自民党の岸田文雄政調会長が来県するなど、政府・与党挙げて対応に追われている。
米軍は安全を確認するため、当面、同型機の運用を停止する方針を表明した。米軍には厳重に抗議し、明確な安全対策を要求すべきだ。
沖縄にとって悲劇的なのは、事件・事故の繰り返しが日米両政府への県民の不信感を強め、ひいては両政府が進める県民の負担軽減策にブレーキが掛かってしまう悪循環が存在することだ。
普天間飛行場の辺野古移設は、まさに今回のような事故が市街地の宜野湾市で起こることを防ぐため計画された。
しかし現実には、米軍の事件・事故が辺野古移設反対の理由に使われることが多い。
政治的思惑が、沖縄の基地負担軽減をむしろ遅らせているのである。
衆院選の候補も相次いで事故現場に駆けつけているが、これこそ与野党を超えた「オール沖縄」で県民の声を訴えるべき事案だ。
しかし翁長知事は11日、報道陣の質問に対し、今回の事故が衆院選に影響するとの認識の上で「新辺野古基地を造らせない、オスプレイ配備撤回、普天間閉鎖撤去を求める候補者を勝たせることで、民意を改めて示さないといけない」と述べた。
記者とのやり取りとはいえ、事故の抗議にかこつけた政治的アピールにしか見えず、さらには、さまざまな政治的立場を持つ県民の分断を誘発させる可能性すらある。
自ら「オール沖縄」を否定するような言動ではないか。
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