【AFP=時事】ブルース・ユア(Bruce Ure)さんは、米ネバダ(Nevada)州ラスベガス(Las Vegas)で1日夜に起きた銃乱射事件の現場で、重傷を負った3人を救出したものの、
自分は英雄ではないと言い張り、その代わりに他の人々の行動を称賛する。
【写真10枚】取材に応じるユアさん、犠牲者を追悼する人々
テキサス(Texas)州シギーン(Seguin)警察の副署長であるユアさんは、カジノホテル「マンダレイ・ベイ(Mandalay Bay)」の向かいで行われていたカントリー音楽祭に参加するため、ラスベガスを訪れた。
バックステージのVIPエリアにいた時、花火のような音が聞こえた。「あんな高い音は聞いたこともなかった。そして、地面にパンパンとはじける音がした。
それでVIP席にいる自分たちが銃撃されていると分かった。地面が、人工芝が上下し始めたから」
ユアさんらは命からがら走った。銃弾に跳ね飛ばされた破片が、半ズボンをはいていて露出した脚の後ろに当たった。
「つまり、犯人は私たちの真後ろから撃っていたということだ」。現場近くで取材に応じたユアさんは、自動小銃の1回の発砲ごとに少なくとも50発が発射されたと語った。
警察によると、事件では元会計士のスティーブン・パドック(Stephen Paddock)容疑者(64)の銃撃により58人が死亡した。死者数はこれまで59人とされていたが、当局は後の発表で、
死者のうち1人は同容疑者だったと明らかにしている。
ユアさんは「私は黒い服を着ていたので命拾いしたのかもしれない」と語った。血の海となった現場で、ユアさんは右ももを撃ち抜かれた若い男性を見つけた。
■最後まで名前は聞かず
「彼が死にかけているのが分かった。私たちは彼をつかんで、引きずって通りを渡った」。ユアさんが男性の止血を試みていたとき、2人の女性が近づいてきた。1人は胸を撃たれ、別の1人は背中を撃たれていた。
ユアさんは「3人を外傷センターに運ばなければいけなかった」ため、他の男性と通りがかりの車を止め、「あなたの車が必要だ」と叫んだ。
「それで血だらけの3人を車に乗せた。1人は大量に出血していた。この男性は全くちゅうちょしなかった。この日の英雄について語るなら
、彼こそが英雄だ。こういった人たちがあちこちにいた」。警官として33年のキャリアを持つユアさんだが、声を震わせながら語った。
病院に向かう途中、ユアさんは女性のうち1人の手を握って放さなかった。「みんな泣きながら、自分たちは死ぬんだ、もう死ぬんだと言っていた。彼女らに言ったことを今でも覚えている。
『今夜じゃない、今夜じゃない。君は今夜死なない。大丈夫だ』と」
3人は病院に到着し、一命をとりとめた。ユアさんは「彼らが無事なのは分かっているが、名前は知らない」と語った。【翻訳編集】 AFPBB Newshttps://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171005-00000002-jij_afp-int