【東日本豪雨】
生活再建、愛犬と誓う 救助の夫妻 2年ぶり住み慣れた常総へ
平成27年9月に東日本豪雨で大きな被害が出た茨城県常総市で、流された自宅の屋根からヘリコプターで救出された50代の夫婦と2匹の柴犬が2年ぶりに住み慣れた土地に帰った。
「こいつらがいたから、乗り越えられた」。避難生活中も支え続けてくれた愛犬と、生活の再建を誓う。
27年9月10日昼、目と鼻の先の鬼怒川堤防が決壊。羽鳥茂さん(59)夫婦の自宅は濁流に囲まれた。夫婦と2匹は2階に取り残され、やがて家屋ごと流された。
「生きた心地がしなかった」。断続的に雨も降る中、命からがら屋根に逃れて助けを待った。それぞれが胸に抱いた犬のぬくもりがうれしかった。
決壊から約3時間後、自衛隊のヘリが到着。バッグに1匹ずつ収め、一緒に救出された。
市内の親戚宅に身を寄せ、家探しを始めた。県は県営住宅などを提供していたが、ペット連れで入居できる部屋は少なく難航。市の協力で、隣接する下妻市の民家に落ち着くことができた。
救出劇はテレビやネットで広がり、各地からドッグフードや寄付金が届いた。「小学生がなけなしの小遣いを送ってくれ、人の情けを感じた。ありがとうと伝えたいです」と茂さんは目に涙を浮かべる。
一方で、「被災したのはうちだけじゃないから」と複雑な思いも抱え続ける。
「生まれ育った土地に帰る」との一心で自宅を再建し、8月29日に戻った。東日本大震災の年に生まれた雄のボンドとその子、リアン。英語とフランス語で「絆」の意味だ。
帰郷に「人間以上に、はしゃいでいる」。主人の言葉に、親子は尻尾を振って応えていた。
http://www.sankei.com/affairs/news/170919/afr1709190009-n1.html
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