(前略)

少子化の要因は性生活の問題ばかりではありません。
経済的な問題、待機児童問題、育児と仕事の両立の問題など、さまざまな要因があることは誰もが承知しています。
さらに言えば、子供が生まれると、やらなければならないことがたくさん出てきますから、
仕事に忙しい世代が子作りを控えたいと考えるのも当然かもしれません。

一方で、産婦人科医である私のところには多くのカップルから不妊に関する相談が寄せられますが、
彼らの話をよくよく聞くと、不妊の原因が単なる「セックスレス」であることが少なくないのです。

「セックスをしていない」のに「子供ができないので悩んでいる」と言われても、何と言っていいのかこちらも困ってしまいます。
そうしたカップルには、「不妊治療を考える前に、もっとセックスできるような環境づくりを考えてください」とアドバイスしています。

バカげた話のように聞こえるかもしれません。
しかし私には、この性行動の変化も日本の少子化の原因のひとつだと思えます。

しかも、往々にして「セックスが嫌だ」と言うのは、女性よりも男性の方なのです。
彼らを見ていると、普段インターネット空間に浸りすぎて、実生活のことが後回しになっているのではないか、と言いたくなってしまいます。

現在は価値観が多様化していますし、他にも楽しいことがたくさんありますから、
わざわざ面倒なセックスなんてしたくない、というのが若者の本音なのかもしれません。
あるいは、バーチャル・リアリティの世界でしか人を愛せない若者が増えているのかもしれません。

私はいわゆる「団塊の世代」ですが、この原稿を読んでくださっている読者には、
30代以下の若い世代の方も多いでしょうから、ぜひ性に関する認識やご意見を聞かせていただきたいものです。

以下ソース参照

日本人の深刻すぎる「セックスレス」をデータで検証する
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52873?page=2