無断でコピーされた漫画や書籍の海賊版サイトにインターネット利用者を誘導する「リーチサイト」を巡り、
大阪府警や福岡県警などの合同捜査本部が7月、運営者側の関係先を著作権法違反容疑で家宅捜索していたことが6日、
捜査関係者などへの取材で分かった。
その後、国内最大級を含む複数のリーチサイトが閉鎖され、閲覧できない状態になった。
リーチサイトは漫画などの海賊版サイトへのリンク(URL)が並ぶだけで、作品を直接掲載しているわけではなく、取り締まりが難しかった。
捜査本部は運営者側が海賊版サイトに利用者を誘導するだけでなく、
違法コピーの掲載にも関与していたとみて、強制捜査に踏み切ったとみられる。
捜査関係者によると、家宅捜索を受けたのは「紅籍会」と称するグループの関係先。
国内最大規模とされる「はるか夢の址(あと)」など複数のサイト運営に関わり、
人気漫画を無断で公開して著作権を侵害するなどした疑いが持たれている。
「はるか夢の址」はすでに閉鎖された。
捜査本部は押収したパソコンやスマートフォンなどを分析する一方、グループの関係者からも任意で事情聴取しており、
組織運営の実態や海賊版サイトとの関係など実態解明を進める方針だ。
出版関係者によると、国内には200近くのリーチサイトがあり、
大半は広告収入のほか海賊版サイトの管理者から報酬を得て運営しているとみられる。
出版各社はリーチサイト側に対し、海賊版のリンク削除をメールなどで要請してきたが、活動実態が不明なうえ、
削除されてもすぐにまた掲載されるなど対策に限界があったという。
電子書籍などの普及でネット上に違法コピーとみられる作品が氾濫する中、
政府は昨年5月に公表した「知的財産推進計画2016」でリーチサイトを「悪質な知財侵害行為」と指摘。
現在、法制面を含めて対策強化を検討している。
海賊版へ誘導サイト、強制捜査 著作権侵害疑い
https://www.nikkei.com/article/DGXLASHC06H34_W7A900C1AC8000/