ワールドカップ(W杯)出場を決めたサッカー日本代表・ハリルホジッチ監督の胸についた「くまモン」のバッジ。
今や押しも押されもせぬ人気キャラクターだが、熊本県は1日、新たな戦略を練る「くまラボ」を開設。ITやアニメなどの
分野での活用策を検討する。いずれ人気は頭打ちになる――。そんな危機感が背景にある。
「くまモン人気の成長は国内では限界がある。『ゆるキャラ』から卒業し、世界に向けたアニメを作り、売り込みたい」。
「ラボ」が発足した1日。研究員の一人、広告大手「アサツー ディ・ケイ」のアニメプロデューサー、高橋知子さんは
そう意気込んだ。
研究員12人は様々だ。東大先端科学技術研究センター講師、檜山敦さんのテーマは「くまモンとふれあえる仮想現実
(VR)世界の開発」。香港の流通大手「YATA(一田)」、タイのアパレル企業「ICC」からも参加し、現地での知名度拡大を
目指す。
県が取り扱うくまモンの使用許諾件数は毎月300件ほどで推移している。これは昨年4月の熊本地震前の倍近い
件数だが、復興支援向けの利用が増えたためで、復興需要が一段落すれば「いずれは頭打ちになる」と県。
ラボ立ち上げにはそんな背景がある。
関連商品の売上高は2010年の登場以来年々増加し、16年は1280億円。熊本経済は農産物から加工食品など
多くの分野の販促で、くまモンを頼りにする。
4年間で160万人が訪れたくまモンとの交流施設「くまモンスクエア」(熊本市中央区)には最近、半数近くが香港など
からの外国人と推測される。
キャラクターの人気は移ろいやすく、いったん「落ち目」のイメージがつけば人気が急降下することが多い。
県の担当者は「長く愛されるには新しい展開、挑戦が不可欠」と話す。
http://www.asahi.com/articles/ASK85744SK85TLVB010.html