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今や世界が熱狂するジャパニーズ・メタルが長らく押し込められた暗黒の時代
2017.08.30
<文/山野車輪 連載第1回>
BABYMETAL、X JAPANが英米チャートインする時代
 2016年、BABYMETALのアルバム『METAL RESISTANCE』が、坂本九以来53年ぶりに米ビルボード総合アルバムチャートで39位に入り、
今年、X JAPANのドキュメンタリー映画『WE ARE X』のサントラが、英国のトップ40ロックアルバムチャートで初登場1位を獲得した。
 これまで、海外で受け入れられている日本発のサブカルチャーといえば、アニメやマンガなどのオタク・カルチャーだった。だが近年は、ロック・ミュージックが話題となっている。
 海外で活躍している国産アーティストは、BABYMETALとX JAPANの他には、ヘヴィメタルバンドLOUDNESS、
アニメソング歌手グループJAM Project、ヴィジュアル系ロックバンドDIR EN GREYなどがあげられる。これらは確かにロック・ミュージックであるが、
もっと幅を狭めたジャンルでいえば、ラウド・ロック、さらに狭めると“ジャパニーズ・メタル”(略称“ジャパメタ”)というジャンルにまで狭めることができる。
 近年、少なくない数の海外のロック・リスナーが、ジャパメタに熱狂しているのである。
ヘヴィメタルへの蔑視や偏見
 これまでヘヴィメタルという音楽ジャンルは、一般の人々やメディアなどによって、さまざまな偏見・蔑視にさらされてきた。
そして同時に、ヘヴィメタルのリスナー(“メタラー”)側も、自分の気に入らない音楽ジャンルへの偏見・蔑視意識を持っている。
 まずは一般人によるヘヴィメタルに対する偏見・蔑視の方から述べてみたい。ヘヴィメタルに対して一般人が持っているイメージは、
「髪を逆立て、化粧を施した、頭悪そうな男が、騒音をかき鳴らしている」といったものだ。
 だが、このイメージは誤っている。海外のヘヴィメタル・アーティストには、メジャーデビュー時のX(X JAPAN)のように、極端に髪を逆立てたバンドはいない。
かつてのLAメタルのバンドは、“ヘアメタル”と称されていたが、その彼らでも、モコッと髪を盛り上げていた程度に過ぎない
。極端な髪逆立て現象は日本独自のスタイルなのである。