「以前から、市有地での不法耕作については『おかしい』と感じていた。不審火などが続き、周辺住民はみんな怖がっていた。今回の撤去を機に、熊谷市にはきちんと管理してほしい」

「ヤミ畑」の撤去について、近隣の男性(51)は25日朝、こう語った。今年6月以降相次いだ、許し難い不審火への怒りもにじんでいた。

警察や市の担当者立ち会いのもと、注目の撤去は実施された。表向き「自主的」というが、1日で作業を終了させるため、市がトラックを何台も用意し、警察車両も待機した。現場は朝から、物々しい空気に包まれた。

注目の「ヤミ畑」は、団地のそばを流れる用水路に沿った一帯に広がっていた。住民によると、昔は日本人も多くやっていたが、7〜8年前から、中国人ばかりになり、一部日本人とベトナム人になったという。
放火されたのは彼らが農機具などを収納していた物置で、住民の1人は「無断で土地を使う中国人をよく思わない人もいた」と声を潜めた。

なぜ、「ヤミ畑」は放置されていたのか。

熊谷市の担当者は「市が『土地を管理していなかった』と言われれば、していなかったことになるかもしれない。少なくとも、ここ数年は、苦情や意見は届いていなかった…」と苦しい回答をした。
迅速に対応していれば、不審火は防げたかもしれないのだ。

同市によると、「(ヤミ畑で耕作していたのは)約50人で、中国人もいると聞いている」「栽培している野菜は自主的な撤去を求め、了解を得られている」(担当者)という。

公共用地の不法占拠(使用)である「ヤミ畑」は全国にある。

国交省水管理・国土保全局によると、2016年度に、国が管理する一級河川の河川敷で確認した不法耕作の件数は、何と865件で、面積は約11万6000平方メートルだった。
これは、東京ドーム(4万6755平方メートル)の約2・5個分もの広さだ。

首都圏と近畿圏に多く、関東地方整備局管内は250件(約3万2000平方メートル)、近畿地方整備局管内は324件(約2万3000平方メートル)と、件数の7割近く、面積の半分を占めていた。
自宅近くで野菜などを栽培していたケースが多く、中には米を育てていた“猛者”もいた。

http://www.zakzak.co.jp/soc/news/170826/soc1708260008-n1.html