岐阜県高山市の介護老人保健施設「それいゆ」で7月末以降、入所者3人が相次いで死亡、2人が負傷した問題で、今月13日に死亡した女性の首や胸にあざのような痕があったことが分かった。
死亡前日に家族が確認しており、県警は女性が死亡した経緯について職員から事情を聴くなど捜査を進めている。
県警は19日も5人の死傷について施設で職員から事情を聴いた。
13日に死亡したのは高山市の中江幸子さん(87)。施設によると、12日午後4時40分ごろ、自室で顔面蒼白(そうはく)になっているのを職員が見つけ、午後5時35分ごろに病院に搬送したが、
折れた肋骨(ろっこつ)が刺さって肺の中に血がたまる外傷性血気胸などで翌日夜に亡くなった。
中江さんの孫によると、孫の両親が12日午後2時ごろに病室を訪れた際、中江さんの首に赤いあざのような痕が点々とあった。中江さんは昨年暮れから3カ月単位で入所を繰り返しており、
当時は7月14日から入所中。両親がこうした痕を見たのは初めてで、両親は「入浴時にごしごし洗われたのかと思った」と話していたという。
両親が12日の2〜3日前に面会した時、中江さんははっきりと受け答えしていたが、12日は口数が少なくおかしいと感じたという。
施設から12日夕に両親に「(中江さんの)呼吸がおかしい。病院に向かって」と連絡があり、病院で中江さんを見ると胸に青いあざがあり、肋骨が折れているように見えたという。
孫は「寝たきりの状態だったので自らの力でそうなったとは思えない。施設で何かあったのかなと思った」と話している。
捜査関係者によると、司法解剖で中江さんの胸部には、激しい衝撃を加えられた際にできる皮下出血は見当たらなかった一方、外部から押さえつけられた際にできる圧迫痕が確認された。
施設側は「介助で体を圧迫した際に胸骨などにひびが入り、ベッドから車椅子に移動する時に肋骨がずれた可能性がある」としている。
また、負傷者2人は今月15日に女性(91)に多発肋骨骨折が確認され、16日に女性(93)の胸にあざがあるのが見つかり、ともに現在入院している。【駒木智一、野村阿悠子】
◇施設側 遺族に経緯説明
「それいゆ」を運営する医療法人同仁会の折茂(おりしげ)謙一理事長は19日、施設内で脳挫傷などで死亡した女性の遺族と面会し、亡くなった経緯を説明した。
他の遺族や負傷した入所者の家族にも順次、経緯を説明していくという。
19日に説明を受けたのは、今月7日に死亡した高山市の石本きん子さん(93)の長女(70)と孫の男性。折茂理事長によると、石本さんが6日深夜に自室で倒れているのを職員に発見され、
翌早朝に搬送先の病院で脳挫傷などで死亡したと遺族に話したという。
折茂理事長は報道陣の取材に、遺族側から事件性の有無を聞かれて「100%否定できない」と答えたものの、「私の立場から見ると、ほぼ100%、自分で転倒して死亡した」と述べたことを明らかにした。
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