【カイロ時事】スペインで起きた一連のテロ事件で、拘束や死亡が確認された容疑者グループの
多くは、スペインの対岸にある北アフリカのモロッコ系だった。2015年のパリ同時テロでも、
犯行には多くのモロッコ系フランス人が関わっていた。モロッコは、今回のテロ実行を主張する
過激派組織「イスラム国」(IS)への共鳴者が多いとされ、治安当局も摘発を強化している。
「不信心者を殺し、敬虔(けいけん)なイスラム教徒だけを残す」。スペインのメディアによると、
バルセロナのテロで使われた車を手配し、その後死亡した容疑者の1人は2年前、
インターネット交流サイト(SNS)でこんなやりとりをしていた。「もし全能の神になれたら、
何をする?」との質問への答えだったという。モロッコ系の同容疑者は当時15歳ながら、
既にイスラム過激思想に傾倒していたことがうかがえる。
米情報企業ソウファン・グループの統計では、モロッコからイラク・シリアのIS支配地域に
渡った人数は15年の時点で少なくとも1200人。北アフリカ諸国では推定6000人の
チュニジアに次ぐ規模だ。
背景には、若者が希望を見いだしにくい国内での貧困や失業の問題が指摘されている。
経済が比較的堅調なモロッコは今年前半の失業率が10%前後だが、若年層に限れば
約25%。将来を悲観する若者たちは、ISなどの排斥的な主張を信奉する危険性をはらむ。
モロッコでは5月と6月に、シリアなどのIS戦闘員と連絡を取りつつ、爆発物製造やテロを
画策していたとしてISとつながるグループや信奉者が相次いで摘発された。7月には、
モロッコと地続きのスペイン領メリリャとの国境管理所を、「アラー・アクバル(神は偉大なり)」と
叫ぶ男が襲撃する事件も起きている。(2017/08/19-17:27
https://www.jiji.com/jc/article?k=2017081900391&g=int