天皇陛下の退位を実現する特例法が6月に成立したのを受けて、法務省が恩赦の実施に向けた検討に入ったことが12日、関係者への取材で分かった。国の慶弔時などに行われる「政令恩赦」や「特別基準恩赦」が実施されれば、1993年の皇太子さまと雅子さまのご結婚の時以来で、現行憲法下では11回目になる。【鈴木一生】

 特例法は、公布日(6月16日)から3年を超えない範囲で、退位の日となる施行日を政令で定めると規定している。恩赦の基準日も施行日を参考に設定されることが想定され、
法務省は恩赦の基準や期間について過去の事例などから検討を進めている。

 恩赦は恩赦法で定められており、罪を犯した人の改善更生の状況などを見て刑事政策的に裁判の内容や効力を変更する目的がある。政令で罪や刑の種類、
基準日などを定めて一律実施する「政令恩赦」と、個人の申し出により中央更生保護審査会が審査する「個別恩赦」に分かれる
。特別基準恩赦は個別恩赦の一つで、政令恩赦の要件から漏れた人に内閣が定める基準で一定期間に限って行われる。過去には政令恩赦と関係なく実施されたケースもある。

 政令恩赦や特別基準恩赦は、これまで、沖縄本土復帰(72年)▽昭和天皇逝去(89年)▽天皇陛下即位の礼(90年)▽皇太子さまご結婚(93年)−−
などを理由としてきた。93年の時は、政令恩赦は実施されず、特別基準恩赦のみが行われた。公職選挙法違反者の公民権が一律に回復することに批判の声があったことや、
平成に入ってすでに2回の恩赦があったことが理由とされる。https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170813-00000008-mai-soci