東京医科歯科大:半月板損傷に再生医療 幹細胞培養し移植 - 毎日新聞
東京医科歯科大は、重い半月板損傷の患者の膝関節から幹細胞を採取して培養した後、損傷部分
に移植して再生させる治験を始めたと発表した。半月板損傷患者は国内に400万人以上いるとみら
れるが、半月板の損傷が激しいと手術で切除するしか有効な治療法がなかった。同大は5年後にも国
の薬事承認を目指すという。
半月板は膝にある三日月状の軟骨で、クッションの役割を果たしている。強い衝撃や加齢などによっ
て損傷すると、膝の曲げ伸ばしの際に痛みを感じたり、関節に水がたまったりする。損傷部分を切除
しても、関節の軟骨が擦り減る「変形性膝関節症」の発症リスクがあった。
治験では、切除が必要なほど半月板の損傷が激しい20歳以上の患者10人を選び、膝関節を包む
滑膜(かつまく)の一部を抜き取り、そこに含まれる幹細胞を2週間ほど培養した後、損傷部分に注入。
その後は約1年間、MRI(磁気共鳴画像化装置)による検査などで経過観察し、有効性と安全性を確
かめる。
治験を主導する関矢一郎教授(応用再生医学)は2014年、半月板損傷の患者5人(34〜57歳)
に対し、自身の滑膜の幹細胞を培養して膝関節に注入し、経過観察する臨床試験を実施。術後1年
で半月板の再生が見られ、関節痛などの症状が改善したという。
治験への参加希望者は、同大臨床試験管理センター(03・5803・5612)へ。【荒木涼子】
https://mainichi.jp/articles/20170804/k00/00m/040/050000c