兵庫県がたつの市など1市2町にまたがる丘陵地に造成した播磨科学公園都市(通称テクノ)が1日、「まちびらき」から20年を迎える。世界最高性能の大型放射光施設「スプ
リング8」など最先端の科学技術を核に、「国際的な新都市」「人口2万5千人都市」を掲げたが、現在の居住人口は1400人に満たない。県は今も人工都市のにぎわいづくり
を模索している。
テクノは県南西部のたつの市、上郡、佐用町にまたがる山間部に立地。1986年に着工し、97年のスプリング8供用開始に合わせ、まちびらきをした。
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2012年には、理化学研究所(理研)放射光科学総合研究センターでエックス線自由電子レーザー施設「SACLA(さくら)」が稼働。世界最高水準の2施設が同時に活用
できる態勢が整った。年間約1万6千人が2千件超の実験を行い、海外の研究者も5%を占める。
県企業庁によると、テクノは3工区で総面積約2千ヘクタールの計画だったが、いまだに1工区約960ヘクタールの開発しか進んでいない。産業用地は約87%が売却済みだ
が、住宅用地は約52%。住宅は計画では1800戸(5100人)だったのに対し、4分の1の463戸にとどまる。
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構想では、スプリング8を利用する民間企業が研究施設を建設し、「研究者の街」になるはずだった。バブル経済の崩壊に加え、県の担当者は「ITの急速な発展が誤算だった
」と振り返る。
県が研究施設の誘致を想定していた産業用地には、製造業を中心に22社が進出。このためテクノの昼間人口は6千人を超える。しかし、理研によると、研究者はインターネッ
トを使えば、海外からでもデータ収集が可能となり、施設近くに居住する必要がなくなったという。施設は大学や企業に関係なく使用が可能な一方、1人当たりの使用時間は制限
される。研究者は地元に住まなくても、その実験がある数日間、施設内の簡易宿泊所に滞在するだけで対応できるという。
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