県は、将来の人口減少に備えようと、県外からの移住促進に向けた取り組みを進めている。2016年度から3年事業で
地方創生推進交付金による「県移住定住促進事業」を始め、17年度は9月以降に移住体験ツアーや10月までに移住に
関するシンポジウムを予定している。県内市町村も、人口減が始まっている離島や本島北部の自治体を中心に、移住体験
住宅の提供や古民家再生、“婚活”支援など定住促進のための施策を始めている。定住支援で子ども医療費助成や
起業支援などの事業も展開している。

◆人口減の緩和狙う

 全国で最も人口増加率の高い沖縄県だが、推計では2025年前後に県人口のピークを迎え、それ以降は減少する見込みだ。
これが移住者促進に取り組む背景にある。この見通しを踏まえ県は、15年に改定した人口増加施策に「UJIターンの環境整備」
を盛り込んだ。離島・過疎地域の振興にも「Uターン・移住者の増加」と明記した。

 県地域・離島課の担当者は「県内の人口増も都市部であって、過疎地域は人口増は既に止まっている。将来的な県人口の
年齢構成を考えると、今のうちから対策をしておかないといけない」と現状認識を説明する。移住促進で、既に始まっている
人口減のペースを緩和する狙いがある。

 移住定住促進事業の初年度の16年度は、地域で移住者と地元とをつなぐ「世話役」の養成セミナーや、県外大都市での
移住フェアへの出展、移住相談会などを開催してきた。移住体験モニターツアーも催し、16年11月に久米島町で3組6人、
17年2月は宮古島市で9組10人、石垣市で13組14人が参加した。体験にはテーマを設け、宮古島では伝統のアギヤー漁を、
石垣では島内の保育士不足の保育園視察も併せて実施した。ただ単に「移り住む」のではなく、その地で「仕事をして暮らす」
ことにつながるようにテーマを設定した。地元の担い手不足の課題解消にもつなげる意向もある。

 さらに移住促進と地域振興に関するシンポジウムを16年度に続き17年度も、9月から10月にかけて計画している。
16年度は那覇市だけだったが、17年度は北部、中南部、離島でそれぞれ催す計画だ。

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https://ryukyushimpo.jp/news/entry-536270.html