兵庫県西宮市は、大正時代以降の市内の風景を写した写真集「西宮という街」を再発行した。往時の産業や文化、自然などを伝える貴重な写真を掲載しており、前回は2015年
に1100冊を販売し、約1カ月で売り切れる人気ぶりだった。市民からの問い合わせも多く、再発行を決めた。
白黒やカラー写真をふんだんに使ったA4判86ページ。市広報課が撮影したものを中心に載せている。
市制が施行された1925(大正14)年、現在の市庁舎周辺は墓地が広がっていた。28(昭和3)年ごろの写真では、完成前の旧庁舎の前に墓石がずらりと並んで写ってい
る。
産業の歴史を伝える記録でもある。西宮は灘五郷の西宮郷、今津郷を抱え、日本を代表する酒どころ。市は酒造りが機械化される直前の59〜60年、市内の酒造各社の協力を
得て、その全工程を撮影していた。こうじづくりなどの工程だけでなく、蔵人の夕食の様子なども収録した。
また、かつてはイワシ漁が主要産業の一つだったといい、浜辺一面に並べて天日干しする様子の写真もある。
市民に親しまれている甲山は、かつて「はげ山」だった。47年などの山火事で樹木が焼かれたが、少しずつ緑が回復している様子や、植樹が進む写真も残っている。西宮神社
の「福男選び」が戦後に復活した際の写真もある。
500冊限定で1冊千円(税込み)。市役所本庁舎1階売店などで販売。
https://www.kobe-np.co.jp/news/hanshin/201706/0010300450.shtml