避難の双葉住民有志、南台仮設で自治会復活 行事を楽しみ、互いに見守り いわき /福島
福島第1原発事故で全町避難している双葉町民が暮らす南台仮設住宅(いわき市)に今春、住民有志が「はなみずき自治会」を発足させた。
住民の退去が進み、避難当初からの自治会は昨年3月に解散。
住民の交流機会が失われ、孤独死も起きたため参加者を募って復活させた。
会長の松本節子さん(66)は「住民同士で楽しく過ごし、互いに見守り、声を掛け合う関係を作りたい」と話している。
県内の仮設住宅では避難の長期化により、元気な住民から自宅を再建して退去し、1人暮らしの高齢者らが残された結果、自治会運営が
できなくなるケースが目立つ。
双葉町では昨年11月時点で、全ての仮設住宅の自治会が解散した。
町生活支援課によると、南台仮設にはピーク時に246世帯425人が暮らしていたが、現在は96世帯145人と住民が約3分の1に減少。
自治会が解散すると、花見や芋煮会などの行事に加え、窓口がないために外部からの支援も途切れたという。
今年2月には、1人暮らしの50代の住民の男性が室内で死亡しているのが見つかった。
部屋が近い松本さんは、配達業者からの通報で駆けつけた警察官が室内を調べるのに立ち会った。
空室が増え、近所づきあいもほとんどないまま、住民が取り残されていく状況に「このままではいけない」と、危機感を募らせた松本さん。
顔見知りの住民の女性2人と手分けして各部屋を回り、自治会設立や安否確認についてのアンケートで意見を聞いた上で、賛同した53世帯で
3月に自治会を発足させた。
仮設に残る住民の半数以上は来春、町が町外拠点に位置づける災害公営住宅「勿来酒井団地」(いわき市)に移る予定で、自治会活動は
それまでの期間限定になる。
松本さんは「芋煮会や新年会でみんなで料理を作って食べ、楽しむ機会を作りたい。最後は仮設のお別れ会も開いて、区切りを付けたい」と話す。
https://mainichi.jp/articles/20170619/ddl/k07/040/016000c