2024/03/29 06:00

俳優の反町隆史さんが演じる、元暴走族の高校教師「グレート・ティーチャー・オニヅカ(GTO)」が大暴れする学園ドラマ「GTOリバイバル」が4月1日に放送されます。人気作の26年ぶりの復活に期待が高まる中、注目を集めているのが、♪言いたい事も言えないこんな世の中じゃ…のサビが印象的な主題歌「POISON」です。

1998年にリリースされた「POISON~言いたい事も言えないこんな世の中は~」、近年は「赤ちゃんに聴かせると泣きやむ歌」として話題になり、反町さんが所属する事務所の公式YouTubeチャンネルで、効果を検証する動画が公開されているほど。

今回のスペシャルドラマでは、ロックバンド「BLUE ENCOUNT(ブルーエンカウント)」がアレンジし、メンバーの田邊駿一さんと反町さんがボーカルを務める、新たな「POISON」(タイトルは「BLUE ENCOUNT×Takashi Sorimachi“POISON”」)が流れます。果たして、新「POISON」にも、赤ちゃんを泣きやませる力があるのか――。赤ちゃんの夜泣きに悩むパパやママの切実な思いを背に、音声分析などを手がける日本音響研究所の鈴木創所長を訪ねて、聞いてみました。

「ハッ」「ホッ」両方備わった“奇跡”の1曲

「赤ちゃんのぐずり泣きが止まる本 けろっと泣き止む魔法のメソッド」(講談社)の著書もある鈴木所長。生後間もない頃から音がよく聞こえる赤ちゃんにとって、「音は一番のコミュニケーションツール」と位置づけ、「赤ちゃんを泣きやませるには、音を使うのが最も効果的です」と説明します。

鈴木所長によると、音に気を引きつけられてハッとする「覚醒化」と、落ち着いてホッとする「鎮静化」の双方の作用によって、赤ちゃんは泣きやむのだそう。「POISON」の周波数を分析したグラフを見ると、この二つの要素を合わせ持っているのが分かります。

まず、ギターの重低音が強烈なリズムを刻むイントロ。「中央部にV字の線がくっきりと出ていますね。これが赤ちゃんをハッとさせます。大人には聞き取りづらい周波数もありますが、赤ちゃんにはよく聞こえている。また、高低差のある音が好きなので、周波数がV字形に上がったり下がったりを繰り返しているのも効果的です」

一方、♪言いたい事も~のサビ部分のグラフに目をやると、振動が一定で、低い周波が強く安定的に出ているのが見て取れます。「ここで、赤ちゃんはホッとします。反町さんの低く太い声もいいですね。『POISON』は、赤ちゃんを泣きやませる要素が何重にも重なった珍しい曲と言えるでしょう」と鈴木所長は分析します。

V字形の線が消え、出現したのは…

さて、アレンジが変わった新「POISON」にも、同じような効果があるのでしょうか。周波数を分析したグラフを前に、鈴木所長の表情がやや曇ったような?「元祖『POISON』のイントロ部分にあったV字形の線が、なくなっていますね……」。確かに、実際にリバイバルバージョンを聴くと、イントロの響きがソフトになった印象です。結果として、赤ちゃんをハッとさせる「覚醒化」のインパクトは小さくなり、「泣きやみ効果は少なくなってしまったと言わざるを得ません」と鈴木所長。

しかし、新たな“発見”もありました。それは、新「POISON」に、小川のせせらぎや木々のそよぎに近く、脳波をα波に導く「f分の1のゆらぎ」と称される音が含まれていること。不規則なゆらぎ、規則的なゆらぎの両方をバランス良く備えていて、鈴木所長は「大人の気分を高揚させる効果がある」と見ます。

元祖「POISON」は赤ちゃんを泣きやませる最強の1曲で、新「POISON」はぐずる赤ちゃんの世話に疲れたパパママの気分をアゲる1曲である――ということでしょうか。

鈴木所長は、「泣きやみ効果は元祖の方が高いですが、新『POISON』は、大人向けにバージョンアップしたと解釈できますね。ドラマ復活を楽しみにしている人たちの高揚感を、さらにかき立てる楽曲になっています」と話していました。

いずれにせよ、それぞれ“グレート”な魅力を持った2曲だといえそうです。

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https://www.yomiuri.co.jp/otekomachi/20240326-OYT8T50023/