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2024/03/08/ 11:00

今年日本に上陸したばかりの「Apple Music Classical」は、世界最大級となる500万以上のクラシックの楽曲がそろう、ファン垂涎のアプリだ。「音楽は我々のDNA」と自負するAppleが、なぜ今クラシックに熱視線を向け、注力するのか。近年大きな“転換点”を迎え、盛り上がりを見せているという、クラシック音楽界の今を取材した。

Appleは1月24日、「Apple Music Classical」の日本国内での提供をスタートした。Apple肝煎りの新サービスということで、「海外向けにリリースされた昨年時点で注目していた」と話すのが、デジタル音楽ジャーナリストのジェイ・コウガミ氏だ。

コウガミ氏が画期的だと捉えているのが、音楽アプリでクラシックを楽しむ上でユーザーのストレスとなっていた、“検索”の課題を解決したことだという。

中略

■クラシックの定義が変わりつつある

未曾有のパンデミックで社会不安が高まる中、ストレスを和らげて心を穏やかにしてくれる音楽のニーズが高まった。そこで、「リラックス」「ぐっすり眠れる」「仕事に集中」など、自分の気持ちや状況といった“ムード”にぴったりの曲を集めたプレイリストが数多く再生されるようになった。

ヒーリング音楽の代表選手といえばクラシック。リスト内に数多くおさめられているため、ムード・リスニングの広まりとともにこれまでクラシック音楽になじみがなかった人びとも触れる機会が増えたというわけだ。

さらに、近年のクラシック人気を支えるもう一つの要因が、「クラシック音楽の定義が変わってきたこと」(コウガミ氏)だという。

「本来は、モーツァルトやショパンやチャイコフスキーが手がけた西洋の古典音楽が、クラシックです。しかし最近は、映画やドラマ、ゲーム作品で使われている“クラシック風”の音楽もクラシックに分類されて親しまれています。ロンドンの名門貴族の姿を描いたNetflixの大ヒットドラマ『ブリジャートン家』や、ゲームの『ファイナルファンタジー』シリーズのサウンドトラックが良い例です。古典かどうかという定義は関係なく、自分にとって心地よい音楽をクラシックとして楽しむ風潮が広がっているのは、面白い現象だと思います」

さらに、TikTokやYouTube上では、テイラー・スウィフトのようなポップスアーティストの楽曲をクラシックテイストにアレンジして演奏したカバー動画が大量に投稿されており、若年層を中心にクラシックのボーダーレス化はますます進んでいる。

「“クラシック風”の曲との出会いを機に、従来のクラシック音楽に興味を持つようになった人もいるでしょう。今、クラシックの世界への入り口はどんどん増え、多様になっています」(コウガミ氏)

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