福岡市内などで2023年に開催された世界水泳選手権と世界マスターズ水泳選手権について、市の負担額が約107億円と当初見込みの約3倍に達する見通しとなったことが市のまとめで判明した。新型コロナウイルスの感染拡大や東京オリンピック・パラリンピックの1年延期などで大会日程が2度延期されたことや、想定外の整備費が発生したことなども影響した。開催経費も約205億円と、当初見込みの約2倍になった。

 6日開かれた大会組織委員会で、市が決算見込みを報告した。世界水泳は23年7月の17日間、市内4会場で開催し、191カ国・地域から2361人が参加。マスターズ選手権は同8月の10日間、市内など6会場であり、77カ国・地域から7512人が参加した。

 報告によると、開催経費は総額204億6700万円で、会場整備費が106億9500万円、運営費が50億2300万円など。一方、チケット収入や協賛金など大会収入は224億8300万円となった。

 その結果、収支は20億1600万円の黒字となり、うち1億円は福岡県、残りの19億1600万円は市に戻されることに。市の負担額は126億6000万円と見込んでいたが、最終的には差し引きで107億4400万円となった。

 市は17年2月の試算で、開催経費を約90億~約100億円、市の負担額を約35億~約40億円と見込んでいた。コロナ禍など情勢の変化を受け、23年2月に開催経費を約225億円、負担額を120億~130億円と再試算していた。

 市によると、開催経費で当初見込みより100億円以上増えた分のうち約50億円が、仮設の観客席のリース期間延長など2度の延期にかかわる分。他にも、計画になかったウオーミングアップ用プールの増設などが、経費の上振れにつながったという。

 一方、大会の福岡市への経済波及効果は433億円と、23年2月の試算(540億円)を下回った。マスターズ選手権の海外選手が見込みより約5000人少なく、同行者らが来なかったことも影響した。

 市の担当者は「2度の延期で開催経費が増えて苦しかったのは事実だが、コロナ禍が明け、経費の2倍を超える経済効果を出せた」と説明した。【竹林静】
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毎日新聞