将棋の第17回朝日杯オープン戦決勝、藤井聡太8冠(竜王・名人・王位・叡王・王座・棋王・王将・棋聖=21)対永瀬拓矢九段(31)が10日、東京・有楽町の「有楽町朝日ホール」で行われた。

 昨年8~10月の王座戦5番勝負の再現となった対局は、先手の永瀬が勝ち、初優勝を飾った。藤井の2年連続5回目の優勝はならなかった。

 後手の藤井は時間を削られた。永瀬がぶつけてきた矢倉に、「予想をしていませんでした。認識のない形で神経を使う展開になりました」と終局後、振り返る。気がつけば各40分の持ち時間のうち、永瀬は39分も残しているのに対し、藤井はわずか1分。「残り時間が厳しいかな。少し自信のない感じでしたが、全体に難しい局面が長かった。最後に崩れたのが残念」と話した。

 公式戦の黒星は、昨年12月23日に初回が放送された第31期銀河戦決勝で丸山忠久九段に敗れて以来。過去15勝6敗だった永瀬には、同年8月の王座戦5番勝負第1局に次いでの敗戦となった。

 本年度はこれで42勝7敗。中原誠16世名人が67年度に達成した8割5分5厘(47勝8敗)の更新がかかる。あとは準決勝まで進出しているNHK杯トーナメントと、4日の第1局で同学年の伊藤匠七段(21)と持将棋の末に引き分けとなった棋王戦5番勝負が残っている。まずはNHK杯で連勝して優勝するのが第1関門。そのうえで棋王戦で3連勝して初防衛すれば、47勝7敗で勝率8割7分となり、辛うじて上回る。もう1つも落とせない。

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