井上陽水『少年時代』は記録以上に記憶に残る名作!!【後編】
1/31(水) 21:03 GINZA
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『ハンサムボーイ』1990年10月21日発売。大ヒットした井上陽水13枚目のオリジナル・アルバム。シングルカットされた『少年時代』は同年8月11日公開の映画『少年時代』の主題歌として9月21日に先行発売され、映画公開時にも話題を呼ぶ。
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大滝詠一、井上陽水、松本隆、筒美京平らのブレーンを務めるかたわら、「平井夏美」名義で『少年時代』(井上陽水と共作)、『瑠璃色の地球』(松田聖子)などを作曲。中森明菜の音源制作にも関わってきた川原伸司さんに、いまこの時代に聴きたい音楽についてうかがう連載。Vol.8は井上陽水さんについての後編。教科書にも掲載され、今も多くのアーティストから愛されている『少年時代』のエピソードなど、歌謡曲好きライターの水原空気がインタビューします。

水原:(前編からの続き)『少年時代』は当初、映画とは関係なく作られたそうですが、今となっては他の曲は考えられません。

川原:確かに映画とぴたりと合っていましたよね。ピアノも、陽水さん謂うところの少年のような初々しさをイメージして来生たかおさんに弾いてもらったんですよ。

水原:ちなみに『少年時代』で検索すると「風あざみ、実在しない」みたいなワードが上がってきます。「夢花火」とか「宵かがり」も、実は陽水さんが作られた造語なんですよね。

川原:そう。陽水さんは作詞も天才的で、韻の踏み方や声の響きを意識した言葉選びがすごい。少年時代の「星屑の空へ」も当初は「星空の空へ」という歌詞で、「空」がかぶっていた。それを陽水さんに言ったら「バレましたか…」と(笑)。

水原:日本語的な確かさより、音の心地よさを大切にされているんですね。「夢はつまり、想い出のあとさき」という部分も、子供時代の夢を振り返っているようであり、想い出を夢のように感じているとも受け取れるし。ただ一つ言えるのは、聴いているだけで、とてつもない郷愁が溢れてくるということ。

川原:ビートルズも歌詞に意味があるようで無いというか、解釈に預けているところがあるけど。『少年時代』は最初『夢はつまり…』というタイトルだったんですよ。

水原:としたら、やっぱり曲を象徴する部分なんでしょうね。

川原:「夢はつまり、想い出のあとさき」の後でブレイクするのも、陽水さんのアイデアなんです。僕はすぐ次のパートが始まるイメージだったんですが、陽水さんは予測不能な方が好きで、きちんとし過ぎているのを嫌がるというかね。『少年時代』もどこか正々堂々としたところがあるから。

水原:そんな曲を陽水さんが歌う意外性に惹きつけられました。音楽の教科書にも掲載されましたね。

川原:教科書のお話は、僕と陽水さんのマネージャーさんはとても喜んだのだけど、陽水さんは最後まで少し迷っていました。権威的になるのを嫌がっていたし、歌は儚いものだという考えもあったみたいで。

水原:その後多くのアーティストがカバーして、宇多田ヒカルさんも。

川原:陽水さんも宇多田さんのことをデビューのときからずっと評価していたから嬉しかったと思います。King Gnuが『飾りじゃないのよ涙は』をカバーしたり、新しい学校のリーダーズのSUZUKAさんが、陽水さんの『バレリーナ』(1983年のアルバム)を好きだと公言したり。陽水さんは時代を超えて支持されているのもすごい。

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