◆全日本プロレス「ajpwTV LIVE」大会 ▽史上最高齢三途の川電流爆破デスマッチ電流爆破バット×3本30分1本勝負

 〇大仁田厚、グレート小鹿、雷神矢口(10分11秒 サンドイッチ電流爆破バット殴打→体固め)ミスター・ポーゴ、櫻井匠、怨霊●(27日、東京・エスフォルタアリーナ八王子メインアリーナ)

 第4試合の「史上最高齢三途の川電流爆破デスマッチ電流爆破バット×3本」で、81歳の日本最高齢現役レスラー・グレート小鹿が「邪道」大仁田厚、雷神矢口と組んで、ミスター・ポーゴ、怨霊、櫻井匠組と対戦。史上最高齢の電流爆破マッチの舞台で躍動した。

 小鹿にとって大仁田は全日所属時代からの後輩。小鹿は4年前に不整脈と診断され、心臓にペースメーカーを装着。3年前に胃がん、2年前に大腸がん、昨年には膀胱がんを患い、抗がん剤治療を続けているが、昨年11月には新潟プロレスでの「史上最高齢電流爆破デスマッチ」で大仁田組と対戦。大仁田が電流爆破バットで小鹿を殴打、戦闘不能にされる一幕もあった。

 この日、81歳とは思えない、しっかりとした足取りで大仁田と矢口を従え、リングインした小鹿。

 ゴングと同時にポーゴらに襲いかかったが、悪のトリオはいきなり81歳を後ろから電流爆破バットで殴打する暴挙に出た。

 場内に「ひどい!」、「死んじゃうぞ!」などの悲鳴が上がる中、小鹿はなんとか復活。パイプいすで3人を次々とぶん殴ると、185センチの長身からの全盛期を思わせるチョークスラムも披露した。

 大仁田、小鹿ともにチェーンで首を絞められ、劣勢となり、息切れした小鹿が酸素吸入器を口にする場面もあったが、最後は大仁田が怨霊の顔面に毒霧を噴射。矢口と前後から電流爆破バットでサンドイッチ殴打し、3カウントを奪った。

 試合後のリングで「小鹿さん、みんな応援してくれましたよ。皆さん、小鹿さんの一言聞きたいですかー?」と観客に問いかけた大仁田からマイクを受け取った小鹿は「ありがとうございました」と、まずペコリ。

 「電流爆破を食らって何がなんだか、さっぱり分からなくなりましたが、皆さんの応援のおかげと、1、2、3の3カウントを数えてくれた大仁田君のおかげで勝てました。あと何回、リングに上がれるか分かりませんが、これからも頑張っていきます」と言い切り、満場の拍手に包まれた。

 マイクを引き取った大仁田は「小鹿さんがいつまで生きるか分かりませんが、これからも最後までリングに上がり続けると思います」と、やや失礼な言葉に続けて「頑張れ、小鹿! 1、2、3、ファイヤー!」の絶叫で締めた。

 バックステージでも邪道は「賛否両論あると思うけど、81歳でリングに上がれるかって聞かれたら、俺ならNOと答えると思います。リングに上がり続けるパワーと元気は捨てがたいと思います」と、矢口と共に小鹿を囲み、称賛。

 最後に1人で取材陣に囲まれた小鹿は「来月に入ったら、大腸がんの転移がないか調べるんですが…」と明かした後、「リングに上がった僕の姿を高齢者が見て『小鹿さんがまだやってるんだから』って、もう少し元気になって、ファイトを感じてもらえたらと思います」とポツリ。

 「この3年でいろいろな所のがんをやって、そろそろ限界が来ていると思いますが、小鹿はがんに負けたなって思われるのが嫌で、僕は生きてます」と、きっぱりと続けると「小鹿コールをしてもらって、ありがたかったです。次、どこでリングに上がるか分かりませんが、今日は僕の次のエネルギーの元になったと思ってます」―。

 日本最高齢現役レスラーは最後にそう言うと、微笑んだ。(中村 健吾)

報知新聞社
https://news.yahoo.co.jp/articles/d52cee1c897bc8b8b1c42221637dc093eb24487c