スポーツ報知 2024年1月25日 20時0分
https://hochi.news/articles/20240125-OHT1T51236.html

プロボクシングの元日本、東洋バンタム級王者の小室恵市さんが2023年12月16日、93歳で亡くなっていたことが25日までに分かった。遺族が明らかにした。故人の遺志により、葬儀はすでに家族のみで行われている。

小室さんは1930年(昭和5年)10月、東京都出身。51年11月、青木ジムからプロデビューし、篠田明(日東)に初回KO勝ちを収めた。54年9月には佐々木民雄(野口)を10回判定で破り日本バンタム級王座を獲得。55年4月に大塚昌和(オール)に判定負けして2度目の防衛に失敗したものの、同年6月、大塚に雪辱して日本王座に返り咲いた。2度防衛後の55年12月、フィリピン・マニラで、サノン・E・T・B(タイ)に6回反則(TKO)勝ちして第3代OBF東洋(現東洋太平洋)バンタム級王座を手にした。その後、日本初の世界王者(フライ級)となった白井義男さん(故人)を破ったこともあるレオ・エスピノサ(フィリピン)らと激闘を演じた。

小室さんの東洋王座獲得は55年12月4日の報知新聞1面で「小室、東洋の王者へ」との見出しで報じられた。同日の紙面によると、小室さんは子供の頃は体が弱かったが、小学校5年の時には不断の努力と練習のおかげで丈夫になり、野球と水泳部のレギュラー選手に抜てきされたという。その後、柔道でも段位を獲得した。戦後、両親の疎開先だった秋田市でボクシングと出会い、国体にも出場した。プロ転向後に日本王者、東洋王者となった小室さんについて、報知新聞では「五尺五寸五分(約167センチ)の身長を利して繰り出すストレート、アッパーカットには定評がある」と紹介された。プロ戦績は28勝(6KO)7敗2分け。

56年8月の試合を最後に引退した後は都内で寿司店を経営した。