昨年末『体罰と日本野球』という刺激的なタイトルの書籍が岩波書店から出版された。著者は高知大学地域協働学部の中村哲也准教授。今回の本を上梓した意図について話を聞いた。

■「野球をする」と体罰を受ける理不尽

 そもそも、日本野球と「体罰」をテーマにした本を書こうと考えたのはなぜなのか? 

 「個人的な経験として、小学校から野球を始めて、大学までやっていたのですが、中学に入るころから体罰があり、暴力やしごきが日常的でした。周囲の人も、大なり小なりそれがあるのが当たり前という感じで、結局、野球の世界はそういうものなのだと、それこそ無理やりにでもわからされたという感じでした。
 大学野球部は公立で弱かったし部員も少なくて体罰はなかったのですが、中学、高校と経験してきて、結局、なぜ『野球をする』ことが体罰を受けたり、しごかれたり、訳のわからない上下関係の中に放り込まれることになるのか、という疑問を常にもっていたんです。

 野球をするのは選手たちなのに、自分たちのやりたいようにできない。練習もそうだし、日常的な関係性の中でも体罰や、しごきを受けなければならない。でも私だけでなく多くの選手は、やっぱり野球がしたかったから、その境遇で野球を続けていたというのが実態ではないかと思います。そういう関係性がずっと好きではなくて、問題意識として持っていたんですね」(中村准教授、以下同)
 本書のユニークなところは「野球、スポーツと体罰」の関係について、歴史的な資料、文献をもとに掘り起こしたところだ。

 「2012年に大阪市立桜宮高校で体罰を受けたバスケットボール部員が自殺するという事件がありましたが、このころから、早稲田大学の石井昌幸先生(現早稲田大学スポーツ科学学術院教授・早稲田大学競技スポーツセンター所長)らとともに、スポーツと体罰について考えてきました。

 私は歴史学的なアプローチから野球の体罰について取り組むことにしました。ただ、実態、事実をどう捉えるかが一番難しくて、先行研究を見ても、いつどこでどんな体罰が行われたかってはっきりしないんですよね。

※続きは以下ソースをご確認下さい

1/23(火) 17:32
東洋経済オンライン

https://news.yahoo.co.jp/articles/cabb4867f1540057b1af345d7c60bd003022fb7d