デイリー新潮2024年01月21日
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「速報!!  実家が全焼したのにコミケに来た勇者」

昨年末に開催され約27万人の来場者を集めた日本最大級の同人誌即売会「コミックマーケット103」(以下コミケ)。当日は関連した投稿が数多くX(旧Twitter)に流れたが、その中でも注目を集めたのが「ドラゴンクエストIV」の女勇者のコスプレをした女性の投稿だった。実家が全焼したのにコミケに来るとは一体どのような状況だったのか。投稿主であるコスプレイヤーのミンミコさん(@minmikoooooooo)を取材した。

昨年末の12月30日、大阪府羽曳野市の住宅から出火し、近隣の住宅17棟が全半焼する火事があった。この火災にあった家の一つがミンミコさんの90歳になる祖父と母が住む“実家”だった。

「家、燃えているの」

30日午前4時、ミンミコさんは母からかかってきた電話でそう告げられた。

「その日は午前3時までコミケの準備で武器を作っていて、やっと完成して寝た瞬間の電話でした。最初は母が寝ぼけているのかと思ったんですが、燃えている途中で電話をかけてきたみたいで。Xで検索すると、祖父の横の家が燃えている動画が上がっていました」

燃えた祖父の家にはかつてミンミコさんも住んでいた。2年前の3月にミンミコさんが上京したタイミングで、母も一緒に東京にやってきたが、祖父の体調が悪いことから1年前に母は帰阪していた。祖父は補聴器をつけていて、寝る時は外していた。火災の際、母が祖父を起こし逃げたので命に別状はなかったが、もし母と一緒に住んでいなかったら死んでいたかもしれない。

現在、祖父と母は知人の家に身を寄せているが、祖母の遺骨が火事でなくなってしまったことで祖父は意気消沈しているという。さらに思わぬ追い討ちもあった。

「祖父が母も私も知らないうちに火災保険を解約していたんです。もともと古い家で物件価値がないから火災保険はいらないと思ったらしくて。燃えた家の解体費用やがれきの撤去費用も火災保険があれば出たんですが……」

火事の話を聞き、ミンミコさんは「始発で大阪に帰るわ」と母に伝えた。すると母からは思わぬ言葉が返ってきた。

「あんたはコミケに行きなさい。こっちに来ても何にもできないでしょ。それよりドラクエのコスプレをして『私の家が燃えた』って言いなさい。お母さん、バズると思う。もう燃えた家は戻らないのだから、それをネタにしてでも何かつかんで来なさい」

母の言葉を聞き、ミンミコさんはコミケの会場である東京ビッグサイトに向かった。道すがら、母から「寒い」「誰々さんの家が燃えている」と連絡があった。電車の中で半泣きになった。

父の会社が破産、負債1億円、週7でアルバイト
コスプレエリアに向かった。ミンミコさんがコスプレしたのは「ドラゴンクエストIV」の女勇者だった。

「写真を撮っている時は泣くのを我慢できるんですが、泣くのを堪えているのでレンズを睨むような感じになっているんですよ。それが勇者に合っていたのか『目つきがいいね』ってカメラマンに褒められたんです。でも、これ半泣きなんだよと思ったり」

コミケが終わり、帰りの電車に乗ると涙がまたこぼれてきた。

「大学を卒業して、上京して好きなことをしようと思って1年で大阪の家が燃えて、私の人生って大丈夫なんだろうかと悲観的になってしまって」

ミンミコさんの父方の祖父は自営業をしており、中学生までは普通の生活をしていた。しかし、会社の経営がミンミコさんの父に代わると経営は悪化しやがて破産。会社の負債は1億円を超え、住んでいた家も抵当に取られた。その後、母と一緒に住んだ祖父の家が大阪での唯一の寄る辺だったが、それも今回の火災で燃えてしまった。

「父は私の大学の入学費用も、お母さんや祖母祖父の貯金も全部使い果たしました。それなのに働かず、そういうビデオばっかり見ている。幼少期はいい父だったんですけど、お金って人間を壊すんですね」

ミンミコさんは大学に入るもお金はなく、週7でアルバイトをした。だが授業料、さらに交通費が重くのしかかる。学校までの定期代が払えず、バイト先の飲食店の客に3万円を借りたこともある。とにかくお金に困っていた。

※以下引用先で