「週刊文春」編集部

「ロッテは来オフに佐々木朗希投手(22)のメジャー移籍を容認せざるを得ないはずです」(球界関係者)

 12月10日付のスポニチアネックスが〈ロッテ・朗希が今オフのメジャー挑戦要望〉と報じた。その背景には、ロッテと佐々木が交わした“密約”の存在が囁かれている。

◆ ◆ ◆

契約交渉やマネジメントに関わる人物が情報をリークか

 大谷翔平投手のドジャース入りが決まった当日に流れたスポニチの“スクープ”。ところが、佐々木本人はもちろんロッテ側も、一切、コメントせず、沈黙を保っていた。

 この不可解な報道は、「佐々木側に近い人物のリークではないかと見られている」(同前)。

 その人物こそ複数のIT関連企業を経営する40代のX氏だ。慶應大学卒のX氏は、2019年に佐々木の母と伯母がそれぞれ立ち上げたスポーツマネジメント会社2社の執行役員を務めている。

「X氏は、大船渡高校時代から、佐々木の家族と関係を深めてきました。2019年のドラフトでロッテから1位指名を受けた時も、契約交渉をサポートしています」(ロッテ担当記者)

 現在、佐々木のマネジメント窓口は大手広告代理店の電通だが、電通とタッグを組んで佐々木の直接的なサポートをしているのがこのX氏だ。

 またX氏はこのオフにドジャースと大型契約を結んだ山本由伸投手(25)のマネジメントも手がけ、山本の実姉が経営する会社の役員でもある。

佐々木はロッテとサイドレターをつきで契約を交わしていた

 実は、そんなX氏が、ロッテと佐々木の間に横たわる“密約”の存在を吹聴しているというのだ。

 X氏から直接、その内容を聞いた前出の球界関係者は、こう証言する。

「入団交渉の席上、佐々木くんが希望した時にいつでもメジャーに行かせるようにロッテに要求したのです。ロッテ側もかなり渋って交渉は難航しましたが、この条件を飲まなければ、入団しないと強気に出た。最終的にはロッテが受け入れ、サイドレターをつけることで契約にこぎつけたという話でした」

 この年のドラフト会議は10月17日に行われ、他の指名選手の多くは11月上旬には入団内定が発表されている。しかし佐々木のロッテ入りが決まったのは11月30日。1位指名された12選手の中で最も遅い入団合意だった。

「X氏は『このサイドレターがあるから、いつでもメジャー移籍ができる。プロ野球の球団なんてチョロい』と豪語していた。今回の佐々木くんのメジャー直訴は、『来年は必ずメジャー移籍を実現する』という意思表示。サイドレターがあるため、来季ロッテは、認めざるを得ないのだろうと思います」(同前)

「もう少しチームに貢献してから…」ファンの反応は様々

 スポニチのスクープに対し、「早く佐々木くんがメジャーのマウンドで投げる姿が観たい」とファンも沸いたが、「まだロッテで1年を通じて活躍した実績がない。時期尚早」とする声も多い。

 これまでポスティング制度でメジャーに移籍した投手は10人超。彼らが日本のプロ野球で登板した通算投球回数は、ほとんどが800回を超えており、1000回を超えて移籍が認められたケースも少なくない。

 2017年、プロ5年目終了後にポスティングで移籍した大谷も、日本ハムで通算543回に登板。打者としても403試合に出場している。

 一方の佐々木は、今季終了時点で通算投球回数は、約283回。来季フル稼働したとしても500回には遠く及ばない。ファンが「もう少しチームに貢献してから移籍して欲しい」と言うのも無理ないのかもしれない。

球団は密約について「ノーコメント」を貫く

 また“密約”が真実ならば大きな問題だと語るのは、NPB関係者だ。

「各球団がこぞって獲得を目指す選手が、『無条件でのメジャー移籍容認』を求めるようになると、ポスティングやFAなど、日本球界が構築してきたメジャー移籍制度が根幹から崩れてしまう。日本球界の空洞化が一気に進む危険性も孕んでいます」

 ロッテ球団の広報に密約について尋ねたが、「ノーコメント」。X氏にも密約に関する発言について聞くと「そのような事実はございません」と回答した。

 多くの野球ファンが、佐々木のメジャーでの活躍を待ち望んでいる。果たして立つ鳥跡を濁さぬ移籍にできるか。

https://bunshun.jp/articles/-/68305