2024年01月12日
取材・文・撮影/安田峰俊

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台湾で取材に応じてくれたテンテン。今や立派な大人の女性です

ルポライター・安田峰俊氏が、今月13日に投開票が行なわれる台湾総統選について、ある台湾人に"本音"を聞いた。その人とは日本では‟テンテン"の名で知られる台湾人タレントのシャドウ・リュウ氏だ。

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1980年代後半、日本でキョンシー映画が大ブームだったことはご存知だろうか。キョンシーはつまり中国版のゾンビだが、当時の人気を支えたのはホラーだけが理由ではない。台湾で制作された映画『幽幻道士(キョンシーズ)』シリーズの主人公、美少女道士のテンテンが、人々の心をつかんだのである。
当時の日本ではあまりのテンテン人気から、彼女が主人公の『来来! キョンシーズ』というTBSが制作協力した連続ドラマが、ゴールデンタイムに放送されていたほどだ。往年の筆者を含め、この時期の小学生は誰もが、両手を前に突き出して膝を曲げずにジャンプするキョンシーの動作を真似して遊んでいたものである。
このテンテンを演じた名子役が、台湾人の劉致妤(シャドウ・リュウ)だ。彼女はその後も、日本と台湾で生活拠点を何度か移しながら芸能活動を続けてきたが、2000年代後半以降は台湾に定住。現在は台北市内で暮らしている。
いっぽう、最近の台湾の最大の話題といえば、今月13日(土)に投開票がおこなわれる総統選(大統領選挙に相当)だ。選挙戦は台湾アイデンティティを重視する与党・民主進歩党の頼清徳と、中華民国アイデンティティを重視する最大野党の侯友宜、さらに第三極の台湾民衆党の柯文哲の三候補の戦いとなっている。
大人になったテンテンこと劉致妤も、いまや台湾の有権者のひとりだ。そこで、現地で会って近況を訪ねつつ、台湾の政治や総統選について聞いてみることにした(なお、今回の記事では本人の許可を得て、彼女の名前は日本での旧芸名でもある「テンテン」と書くことにする)。

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その可愛らしさで当時の日本で大人気だったテンテン





■ソーシャルワーカーは政治に無関心でいられない
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