12/27(水) 17:20配信
読売新聞オンライン

 全国高校ラグビー大会が27日に開幕する花園ラグビー場(大阪府東大阪市)で、会場のひとつになる「第2グラウンド」の観客席が老朽化し、市民らから「選手や観客がかわいそうだ」という声が上がっている。所有する東大阪市は、サッカーJ3のFC大阪が4年前に第2グラウンドを改修して新スタジアムを整備すると表明した計画によって、座席も新調されることをあてにしているが、工事はまったく進んでいない。(梨木美花)

 「市の対応が不十分なのではないか」。12月の市議会で、FC大阪の新スタジアム整備が遅れていることに、市議から批判が相次いだ。野田義和市長は「交渉の進め方は反省している」と述べたが、「約束は履行されると考えている」とし、来年3月までに改めて整備についてFC大阪と文書を交わす意向を示した。

 花園の第2グラウンドは、ラグビーのワールドカップ(W杯)やリーグワンで使われるメインの第1グラウンドの北側にある。市によると、2007年に設置された屋外の観客席約1300席は簡易な設備で、老朽化。うち約100席は「座ると危険だ」として、座面部分が撤去されている。

 野田市長が市議会で言及したFC大阪との交渉は、19年11月にさかのぼる。

 この時、市は、地元を拠点に日本フットボールリーグ(JFL)に所属していたFC大阪による拠点スタジアム整備計画がある、と発表。第2グラウンドの天然芝はそのままで、J3参入条件の5000席以上の観客席を新たに設け、市に寄付する内容の協定をチームと市が結んだ。電光掲示板や照明も新設し、完成時期は21年12月を目指していた。

 ところが、現地は工事が難しい地盤で、想定以上の費用がかかることが判明。整備が進まないまま、FC大阪は20年、Jリーグ側にJ3参入を申請した。

 市によると、チームは当初、申請書類に拠点スタジアムを「花園ラグビー場」と記載。21年に改めて、拠点は第2グラウンドではなく、収容人数約2万7000人の第1グラウンドだと届け出た。22年11月に正式に参入が決定。23年シーズンからJリーグで戦っている。

 市は、FC大阪が第1グラウンドを使用するのを認めたが、「あくまでも、新スタジアム完成までの暫定措置だ」とする。21年6月には、新スタジアム整備を念押しするため、完成時期を23年3月までとする覚書をチームと交わした。

 しかし、覚書の期限を過ぎてもスタジアムは完成せず、工事すら始まっていない。市は整備を求めているが、FC大阪は今から4年後の2027年9月には完成させる、と伝えてきたという。FC大阪は読売新聞の取材に、「東大阪市とともに進めている。詳しくは東大阪市に聞いてほしい」と回答した。

 市議の一人は「地元のチームとして応援しているが、約束通りスタジアムを整備するのかどうかは、はっきりさせてほしい」と語る。

https://news.yahoo.co.jp/articles/188e270409279df3cc7ac8740923179cc0f9399a