部員の大麻吸引による逮捕者が出た日本大学アメリカンフットボール部の廃部が決まったが、大学の運動部では様々な問題が起きている。

 例えば、箱根駅伝総合優勝2回で、来年の100回大会にも出場する神奈川大学(以下・神大)では、部活動の「選択と集中」に関係者たちが大きなショックを受けている。

 神大では2021年8月、各部に突然、「スポーツ強化制度の見直し」という文書が届いた。陸上駅伝部チーム、硬式野球、水泳、男子サッカー、レスリング、男子バスケ、スケートの7つの部が「重点強化部」に指定され、アメフト、女子サッカー、女子バレー、バドミントンの4つの部は「活動支援団体」となったのだ。

 大学のホームぺージには、「17年4月に、学校法人神奈川大学では、本学のスポーツ強化の基本方針の下、スポーツ強化を図るために、限りある資源を集中し最大のパフォーマンスをあげる可能性が高いと判断された課外活動団体を“重点強化部” として7団体を指定しました」とある。

 大学関係者によれば、「重点強化部と活動支援団体を合わせた11の部はこれまで通り、推薦入学枠を維持するが、例えば、空手部、ボクシング部、ヨット部、スキー部、アイスホッケー部、ゴルフ部、剣道部などは、昨年の入学者から2人~5人の推薦枠がなくなった」という。

 突然、推薦枠を取り上げられた空手部の場合、現在の部員はたったの5人。空手部以外も入部者がいなくなれば、やがて大会に出場することができなくなり、廃部に追い込まれるのは必至の情勢だ。早い話が大学側は、経営に寄与しないマイナー競技は切り捨てて、駅伝などの“広告塔”になる運動部に予算などを「集中」させたいのだろう。

 今回の決定により推薦枠がなくなったある部のOBは「多様性を認めず、一部の活動を排除する制度は時代に逆行し、かえって大学のイメージダウンを招く」と憤る。大学側に決定の見直しを求める嘆願書を出したが、現時点で対応は変わっていないという。

 だが、これは神大に限った話ではないだろう。

 文部科学省は今年7月の中央教育審議会大学分科会で、今後も18歳人口が減り続けることで2040~50年度の大学入学者数は、現在の約63万5000人から13万人も減少し、50万人前後で推移すると試算した。

 地方ではすでに学生の募集を止めた大学も複数出て、今後は大学の規模縮小や再編などの動きが加速すると見られている。それ以前に、部活動の見直しも当然行われるはずで、マイナー競技の切り捨ては全国の大学に広がっていくことになるに違いない。

 大学駅伝などはますます栄え、人気のない競技は高校や大学から消えていく運命なのか。

日刊ゲンダイ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/sports/333873
2023/12/25 06:08