世界が舞台、若きピアニストの日常 藤田真央の初著作「指先から旅をする」発売へ
11/30(木) 8:36 産経新聞
https://www.sankei.com/article/20231130-NHZTZHSSDVPXDOFTR4M6TKGUOM/
「人とのつながりが大事です」と話す藤田真央
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世界の音楽シーンで活躍する若手ピアニスト、藤田真央(25)が初の著作「指先から旅をする」を出版する(12月6日発売、文芸春秋)。2年間、世界100都市に及ぶツアーや日常生活が生き生きと描かれ、藤田は「書き続けて、一日一日の密度が濃くなっていきました」と振り返った。

藤田の飛躍のきっかけは、2019年のチャイコフスキー国際コンクール2位入賞。世界的な指揮者、ゲルギエフの目にとまった。「その後、シャイー(ミラノ・スカラ座音楽監督)が気に入ってくれました。私は運がいい」と話す。

昨年10月、ソニークラシカルからモーツァルトのピアノソナタ全集(18曲)を世界160カ国でリリース。デビューアルバムが5枚組の全集ということからしてレコード会社の力の入れ方が分かる。日本のコンサートはチケット完売が続く。

本はWEB別冊文芸春秋の連載をまとめた。「音楽の前では決して?をつくことはできない。すべてが音に出てしまうのです。それこそが音楽の怖さでもあり、その緊張感が心地よくもあります」などと、音楽との向き合い方がつづられる。

「最初は口述筆記で、途中から自分で書いています。曲の細部の感じ方などが、もっと深く、納得いくように伝わればいいと思いました。3月まで奨学金をいただいていて、毎月リポートを書かなければいけなかったので、これを皆が読めるようにと書きだしました。
音楽と一緒で、モーツァルトのモチーフが続いても同じ演奏にならないように、同じ言葉を使わないようにしています」

本書を読むと、チャンスや運を生かすことが、一流の演奏家の証明だと納得させられる。

ベルビエ音楽祭でモーツァルトのピアノソナタ全曲を演奏することになったとき、音楽祭創設者に「これまで何曲弾いたことがある?」と問われ、3曲なのに10曲と答え、音楽祭まで必死に練習した話。
ロッケンハウス室内楽フェスティバルではシフ、ベルビエ音楽祭ではアルゲリッチの代役で評価を勝ち取り、ユジャ・ワンの代役としてゲヴァントハウス管と共演する話が来たのは2日前で、ショスタコービッチの協奏曲を「弾ける」と言い切ったために選ばれた話。
今年1月、ニューヨークのカーネギーホールでデビューしたのもポリーニの代役だった。

「代役は重圧で大変じゃないかといわれますが、私がアルゲリッチのように弾くわけではないのです。ユジャ・ワンのときは、やっていない曲もやったことがあると言ってしまいました。はったりをかますのです」と笑いながら話した。

(※以下略、全文は引用元サイトをご覧ください。)

(江原和雄)