2023/11/24 04:00

少年隊の東山紀之(57)が23日、名古屋市内で主演舞台「チョコレートドーナツ」の大千秋楽を迎えた。年内でタレントを引退し、SMILE―UP.(旧ジャニーズ事務所)の社長業に専念するため、俳優としての仕事は最後。約2時間にわたりゲイのショーパブダンサーを熱演した東山は、満員の2200人の観客から12分を超えるスタンディングオベーションで称えられ、「ありがとう」と感無量の表情をみせた。

鳴り止まぬスタンディングオベーションと、「ヒガシ!」の大歓声。少年隊でデビューして38年。ラスト舞台に立った東山の表情は充実感で満ちあふれていた。

終演アナウンスが3回流れても拍手は鳴りやまず、7度目のカーテンコールで共演の元Hey!Say!JUMP・岡本圭人(30)に背中を押されると、控えめに「ありがとう」とひと言。両脇の高畑淳子(69)と鈴木魁人(22)が感涙する中、客席に向かって頭を下げ、手を振り続けた。

先月8日に幕を開けた舞台は、ショーパブダンサーと地方検事(岡本)のゲイカップルが、育児放棄されたダウン症の少年を育てながら差別や偏見に立ち向かう物語。千秋楽を迎えた名古屋・Niterra日本特殊陶業市民会館フォレストホールでは約2200人が見守る中、東山は深いスリットが入った妖艶な姿で真骨頂のキレのあるダンスを披露。コミカルな掛け合いで会場から笑いが起きる一方、すすり泣くファンもいた。

9月7日に旧ジャニーズ事務所の性加害問題を受けて会見し、新社長に就任することや、被害者の補償救済を進めるため年内でタレント活動から引退することを表明していた東山。俳優として表舞台に立つのは、この日がラスト。タレントとしての仕事も、12月のディナーショーを残すのみとなった。補償についてはSMILE社が22日に被害者35人に補償内容の連絡を開始したと発表するも、なかなか進んでおらず、今後はいばらの道が続く。

一方、俳優としては関係者が「舞台の完成度が高く再々演を切望する声が多い」と語るなど評価は高い。原作映画を手掛けたトラビス・ファイン監督も来日して観劇し、「海外に持っていきたい」と東山の演技力に太鼓判を押していたという。この日、会場を訪れた大阪在住の会社員女性(46)は「もったいない」と切なげ。東京都内在住の主婦(40)は「戻ってくるのを待ちます」と期待した。

多くの注目を浴びながら一つの歴史の幕を閉じたスター俳優は役同様に不屈の精神で突き進む。

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