「聴取を受けていない宙組の生徒がいる」聞き取り辞退の内幕 現役団員の保護者からは「手取り12万円で住宅手当もない」と
“奴隷契約”に怒りの声

 宙(そら)組娘役のAさん(25)が転落死した事件。前編では、上級生による凄絶なイジメの実態について報じたが、後編で
は、過労死ラインを超えるほどの重労働にもかかわらず、「手取りが12万円のこともある」という宝塚のブラック過ぎる内情に
ついて、現役団員の保護者らが告発する。

 劇団における“パワハラ”は個人の資質のみに起因しない。その殺伐とした空気は劣悪な労働環境を温床として醸成されたの
だ。

「弁護団が集計したAさんの労働時間に関する資料によれば、稽古開始日の8月16日から本公演が始まる9月29日までの45日間で
休日は6日のみ。その休日も衣装の買い出しなどに充てられていたうえ、稼働日は朝9時から夜12時まで働くのが常態化。時に仕
事は明け方まで及び、1日の労働時間はひどい時で20時間を超えました。睡眠時間も1日3時間程度だったといいます」

 とは社会部デスク。

「月の総労働時間は437時間で、法定労働時間を超過した分の時間外労働時間も277時間。これは脳・心疾患の“過労死ライン”
である80時間〜100時間を優に超えているだけでは済まない数字です。過労自殺認定の目安とされる160時間以上の時間外労働と
いう“極度の長時間労働”にも該当しています」(同)
「手取り12万円のことも」

労働時間集計表

 この点、元団員の母親がこう明かす。

「7年目に当たる“長の期”の生徒は新人公演の前に、各生徒の配置のほかに衣装やアクセサリーをどうするかも決めて、上級
生に報告しなくてはなりません。このような仕事は劇団内ではやる時間がないので、深夜の帰宅後に行います。するとどうして
も、寝るのは午前3時くらいになってしまう。新人期間中は疲れ過ぎて、食事も喉を通らない日々が続きます」

 絢爛な舞台からは想像もつかない、Aさんが置かれた超絶ブラックな職場環境。しかし、彼女の味わった地獄は長時間労働や
上級生のパワハラだけではない。

 宝塚の「生徒」は宝塚音楽学校で「予科生」「本科生」の2年間を経て、「研究科生」となる。研究科生になる際に、研五
(研究科生5年目)までは阪急電鉄の一部門である宝塚歌劇団と雇用契約を結ぶのだが、前出の母親は次のようにあきれる。

「研五までの手取りは、平均してもせいぜい月16万円程度です。公演期間は移動手当などが出ますが、それでも20万円ほど。公
演がない期間になると、ぐっと減って12万円くらい。本番の衣装は劇団が貸してくれますが、装飾品や髪飾りなどはすべて自腹。
下級生のうちはかつらも自前でそろえねばならない場合があり、それも一つ1万円は下らない。娘たちの稼ぎだけでは到底、食
べていけません」

“奴隷契約”

 結果、多くの生徒が実家からの仕送りに頼っているのが現状である。研六からは契約方法が変わり、個人事業主として劇団と
「出演契約」なる業務委託契約を交わすようになるが、

「基本給が少し上がるので、給料全体が上がったように感じるものの、ボーナスがなくなるので、1年単位で見ると実質的には
研五までの給料と変わらない。また、研五までは月2万円弱で寮に入れますが、研六以降は寮を出ねばならず、タレント契約に
切り替わっているので住宅手当も出ません」

 これらを“奴隷契約”と言わずして、なんと言おう。しかも、出演契約書では「容姿の管理」や「宝塚が定めた日程の稽古の
参加」が義務付けられているうえ、劇団外での「演技・歌唱・講話等の提供」については宝塚の事前の許可を得ねばならないと
いうのである。

 労働問題に詳しい中川亮弁護士は、

「労働か業務委託かを判断する基準は“使用者の指揮命令下にあるかどうか”です。業務委託契約であるとする6年目以降の劇
団員に、自主公演の道具を自腹で払わせるほか、家に帰ってからも雑務をやらせている。つまり雇用契約の5年目までと同じ待
遇、業務内容で使用者の指揮命令下にあるといえます。そうであれば、労働契約が成立し、使用者には労働契約に付随する安全
配慮義務が生じるといえます」

続きはソースで
https://news.yahoo.co.jp/articles/a0b77ee726b6713e3e36beb94b2690c9ed501ff3