ジャニーズ報道は情報提供者の割腹自殺から…大手メディアが無視した『週刊文春』元編集長の"長文メモ"全文

ジャニー喜多川氏による少年たちへの性加害を『週刊文春』が最初に報じたのは1999年。BBCが取り上げ、日本のメディア各社がやっと追随報道
をして大きな社会問題になるまでに24年もの時がたった。ジャニーズと孤独な闘いを続けてきた『週刊文春』の元取材班デスクが、ジャニーズ
の巨大な圧力との24年間の闘いをつづった長文メモを公開する――。

■「反省」は口だけとしか思えない

 ジャニーズの性加害問題が、ようやく日本社会全体で論じられるようになりました。永年、ジャニーズを批判し続けた『週刊文春』のOBとし
ては、感無量な部分もあります。しかし、このところコメントを求めて殺到してきた大メディアに、昔のことが分かるように長文のメモを渡し
たところ、完全無視か、一部のみ引用でした。

 いまになって「反省」を叫ぶ人々に、またこの問題に関心を持つすべての人々に、ジャニーズ取材とそれに対する妨害の真の実態を分かって
いただくために、ここに長文メモをすべて公開します。ジャニーズと闘うことがどれほど大変なことなのか、大メディアはいまだにまったくわ
かっておらず、現在振りまかれているのは口だけの「反省」としか思えない。それが私の実感だからです。

 そのころ、『週刊文春』副編集長としての私の元には、T氏という元ジャニー喜多川の付き人で元アイドルからの告発がありました。内容は、
当時の言葉を使えば「ホモセクハラ」をジャニー喜多川から自らが受けていたこと。そしてT氏は実際にはマネージャーのようなこともしていた
ので、ジャニー喜多川とジャニーズ事務所の現実の姿について、さまざまな思い出を語ってくれました。

 たくさん送られてくる応募写真の中からスターを見つけ出すのがジャニー喜多川はうまい。大スターになった子の写真を見つけたときは「か
わいい!」と飛び上がって、すぐ行こうとスカウトに行ったなどという話や、事務所内のアイドルたちへの性的虐待とそれに伴うストレスが少
年たちをおかしくしているという衝撃的な現実も。性的虐待を受けた少年は、急に男らしく振る舞い始めることが多いので、すぐ分かるとT氏は
言っていました。一緒にゴルフの練習に行ったりしたときも、T氏のようなスタッフに威張って指示を出したりするようになるそうです。スター
への道をチラつかせながらの性的虐待がいかに少年を歪めるかということでしょう。
 
 ■最初の証言者はNHKの前で割腹自殺

 T氏にはテープを何本も録るほどインタビューしましたが、たった一人の証言で記事にできる類いの問題ではありません。T氏の話はまだプラ
ンとしても編集会議に出しておらず、他に証言者を探して記事にできないか、周辺取材を始めました。ところが、そうしているうちに彼は、NHK
の前で割腹自殺をしてしまいました。

 T氏は『週刊文春』に証言したことで深く悩むようになった可能性もあります。自殺に追い込まれるほどの葛藤に気づかなかったのは私の不注
意にも思われて、自責の念にかられながらも、もっと確たる証拠がほしいと新たな伝手をたどりはじめました。

 ちょうどそのころ、部下の一人(彼が結果的にキャンペーンの書き手になります)の元には、ある媒体の記者を通じてジャニーズジュニアにつ
いての告発が寄せられていました。

 記者のニュースソースは水商売の女性たちで、いまのキャバクラ嬢とホストクラブの関係と同じように、女性たちは仕事が終わるとその手の
店に行くらしく、ホストのような仕事をしていたジュニアたちから、いろいろな話を聞いたそうです。それは、セクハラだけでなくジャニーズ
事務所の待遇全般に及ぶ話でした。そしてその実情は、少年たちの将来を考えるとあまりにもかわいそうだというのが話の骨子でした。

 また別の記者は、喫煙問題でジャニーズをクビになった少年を編集部に連れてきました。ジャニーズを突然解雇され、この先どうしようかと
いう相談を、知人を通して受けていたのです。

続きはソースで
https://news.yahoo.co.jp/articles/524bb4008fcf22e756e0cfa478f7011278a2f145