華やかで美しく荘厳な宝塚のステージは、タカラジェンヌたちの不断の努力のうえに成り立っている。だが、行きすぎた競争心は、足の引っぱり合いさえ辞さない歪な人間関係を作り、ついには「現役タカラジェンヌの自死」という、最悪の事態を招く──。 (中略)


 あれほど華やかで、夢のある舞台を見せてくれる宝塚が、なぜそこまで殺伐とするのか。

「結局は、みんな『トップ』という1つの目標を目指すライバルなんです。その中で足の引っ張り合いや妬みが生まれていく。むしろ、そういう負けん気がないと上にはいけない」(現役のタカラジェンヌ)

 前述したように、有愛さんの自死以降、『週刊文春』には宙組内でのいじめの惨状を告発する声が十数人から寄せられたという。

「そこで名指しで報じられたのは、いずれも宙組内で“幹部”にあたる、キャリアも序列も上のタカラジェンヌばかりでした。もちろん、大なり小なり、いじめと捉えられかねない厳しい指導はあったのかもしれません。それにしても、人気が上位の人ばかりが“ターゲット”にされていた印象を抱きました。彼女たちがいじめのスキャンダルでいなくなれば、それに代わって活躍できる人が出てくる。そういうことなんです」(前出・現役のタカラジェンヌ)

 また、『週刊文春』によると、当初の“やけど事件”報道の情報源は有愛さんではない。つまり、そもそも騒動を知る別の誰かが、トップ娘役の筆頭候補だった天彩の行為を取材に明かしたことになる。

「結局、これもいじめ体質の延長なんです。身内での流言や陰口はもちろん、告発してライバルが失脚してくれれば、自分がスターダムにのぼる日が近づく。2009年に裁判になったXさんの退学騒動も、結局そうです。同級生が、美人のXさんをねたんで虚偽の万引き行為を密告したから、冤罪でXさんは退学処分になった。

 有愛さんも、トップ娘役を逃した天彩さんも、告発が相次いだ宙組幹部も、醜い争いの犠牲者なのかもしれません。どこかに、ほくそ笑む密告犯が別にいるんです」(前出・現役のタカラジェンヌ)

 なぜ、そこまで不健全な競争が広がるのだろうか。そこには、タカラジェンヌの置かれた“牢獄”のような環境に理由がある。

「晴れてタカラジェンヌとなっても、実態は阪急電鉄の社員という扱いで、初任給は10万円台。年収は200万円ほどなのに、アルバイトも禁止です。キャリアを積めばCMや雑誌、テレビ、ディナーショーやイベントなどの仕事ができるようになりますが、当然“人気”がなければオファーは来ない。組内での序列を上げなければ、いつまでも苦しい生活のままなんです」(前出・現役のタカラジェンヌ)

 かつては、「元タカラジェンヌ」の肩書は大きな効果を発揮した。だが、現在では“再就職”にすら高いハードルがある。

「退団後に芸能界で活躍できる人はごく一部。トップを張った人でさえ、バラエティーで体を張ったりするようなことを求められるわけです。いかに“在籍時の序列”を上げておくかが重要なんです」(前出・現役のタカラジェンヌ)

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