明治神宮野球場や国立競技場などのスポーツ施設が集中している東京都内の明治神宮外苑で、独特の存在感があった明治神宮第二球場が今秋、その姿を完全に消す。神宮外苑の再開発計画に伴い、解体工事が進んでいる。東京六大学野球や東都大学野球の会場でプロ野球ヤクルトの本拠地でもある神宮球場に隣接して、約60年もの間、文字通り「第二」という補完的な役割を果たしてきた。(時事通信社 小松泰樹)

神宮第二球場が完成したのは1961年4月。26年に神宮球場が開場した当時に造られた相撲場の跡地だった。相撲場では、国技館が米国に接収されていた戦後間もない頃、晴天興行の本場所が行われたこともある。神宮球場だけでは消化し切れなくなったアマチュア野球の受け皿となるべく誕生した神宮第二球場。63年に増改築され、高校野球では春秋の都大会や夏の地方大会、大学野球でも東都2部リーグの舞台になった。

◆1972年からゴルフ練習場併設
神宮第二球場で異彩を放っていたのは、ゴルフ練習場の併設だ。1972年に営業を開始。プロゴルフ界で「ジャンボ」こと尾崎将司が台頭してきた時期と重なる。ゴルフの人気や注目度が徐々に高まり、大衆的なスポーツになりつつあった折、都心で心置きなく練習できるスポットとなった。

ゴルフ練習場は一塁側内野スタンドの奥に設置された。グラウンドレベルを含め4階建ての構造で、ショットの打席がずらり。試合がない時はゴルフ愛好者が集まり、「打ちっ放し」に早変わりした。主に左翼から中堅方向へと無数のゴルフボールが飛んでいった。その先にそびえ立っていたのは、安全対策用の高さ48メートルもの巨大なネット。三塁側から右中間あたりまで、球場を覆うように張り巡らされていた。

神宮第二球場が野球場としてのピリオドを打った後も営業を続けていたゴルフ練習場は、2022年12月31日限りで閉鎖した。神宮第二の跡地には秩父宮ラグビーが、同ラグビー場が現在ある場所には神宮球場がそれぞれ移設し、建て替えられる計画となっている。

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2023年10月03日11時00分
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