ZakZak 2023.10/2 11:00

原作は、かわぐちかいじ氏による人気コミック。1988年から96年まで週刊漫画雑誌「モーニング」(講談社)に連載された。

29日に公開された映画「沈黙の艦隊」(吉野耕平監督)。俳優の吉岡里帆主演映画「ハケンアニメ」で、アニメ業界を興味深く描き切った吉野監督がメガホンを取るとなれば、期待度は高まる。

コミック原作の実写化映画あるあるだが、キャスティングがイマイチ、原作のイメージとは違うといった声を、今作は沈黙させるだろう。

重厚感のある配役に映像クオリティー。時間と予算を投下し、優秀なCGアーティストのスキルを統合した結果の邦画の到達点。生々しくも美しいシーンが、物語の緊迫感をつないでいる。

日本近海で、海上自衛隊の潜水艦が米原潜に衝突し沈没した。艦長の海江田四郎(大沢たかお)以下全乗組員76人が死亡…。アメリカからそのように伝えられたが、日本政府は事故の実態も、跡形もつかみきれない。

その実態は、核ミサイルを搭載した高性能原潜「シーバット」に彼らをそのまま乗務させるための偽装工作だったのだ。

防衛省・海上自衛隊の協力のもと、邦画としては初めて、実物の潜水艦が撮影に使われている。海底の潜水艦内での密室劇、そこに地上での政治劇が絡み、海江田の国家元首宣言によって、事態は迷走していく。

海江田を演じる大沢は今作でプロデューサーにも名を連ねる。大沢の存在感が、物語をけん引する。世界を敵に回すテロリストなのか、それとも救世主なのか。その見方は歴史が常にそうであるように、立ち位置による史観によって二分される。

核テロリストとして海江田は、日米政府から狙われる身となるが、世界中の海底の地形がすべて頭に入っているという海江田は、先端機器でも読み切れない闇の中で、追っ手を翻ろうする。映像が、それらをつぶさに映す。

映画「キングダム 運命の炎」(2023年公開)でも大沢は、自身を消し去り、主人公に全霊を沈め切っていた。今作でも大沢は、まさに海江田その人で、役のために滅私奉公をしていると言っていい。 (演芸評論家・エンタメライター)

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