熊川哲也が満を持して挑む「眠れる森の美女」…台本・演出を大胆に翻案、振り付けも一新
2023/09/29 19:30 読売新聞
https://www.yomiuri.co.jp/culture/stage/20230929-OYT1T50200/


新生「Kバレエトウキョウ」意欲的な試み

熊川哲也率いる「Kバレエトウキョウ」が10月8日から、古典バレエの最高峰「眠れる森の美女」に挑む。熊川自身が台本・演出を大胆に翻案し、振り付けも新たにした。9月にKバレエカンパニーから改称して心機一転、加えて創立25周年を目前にした意欲的な試みとなる。(田上拓明)

1890年初演。古典バレエの父と呼ばれるプティパの振り付けとチャイコフスキーの音楽がマッチする豪華 絢爛 な大作だが、複雑な思いも抱いていた。「ダンサーとして舞台に立つ時は、音楽に踊らされる感覚が気持ちがいいが、客席で見る際は好みではなかった」。大きな節目を機に「残しておきたい」と、満を持して“熊川版”を打ち出す。

呪いによって眠りについた姫が、王子のキスで目覚める有名な物語。今作では、誕生祝いの 宴 に招かれずオーロラ姫を呪う悪の妖精カラボスは、隣国の君主で、国を守る妖精によって 杖 に封印される。だが、姫とデジレ王子が森で出会い、ひかれ合った後、悲劇が訪れる。王子は 罠 によりカラボスを復活させ、姫を殺すよう呪いをかけられる。

そしてカギとなるのが、王子たちが姫に求婚する見せ場「ローズ・アダージオ」。プティパ版と異なり、呪われたデジレも4人の王子の1人として登場し、危険な魅力で姫を死に導いてしまう。役柄の心情により共感してもらおうと、人物の行動を分かりやすく、必然性を高めた筋書きにした。

演出面でも、プティパ版で豪勢な儀式が展開される誕生の宴は「音楽が 凜 としているから、カジュアルでもいいのかな」と雰囲気を変えた。それでも、衣装や美術は豪華で、予算規模は1億数千万円に上る。
円熟味増す今、「自然な成長の延長」

英ロイヤル・バレエ団を経て1999年に、Kバレエを創立。ダンサーとしての名声に加え、振付家、演出家としても円熟味を増す。「羽を広げて遊んでいた20代。本腰入れなきゃなと作品を作り始めた30代にはケガもした。経験が積み重なった自然な成長の延長」と現在地を捉える。5月に上演した「蝶々夫人」では、 花魁 道中をバレエで表現するなど、日本ならではの独自性も打ち出す。


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