週刊ダイヤモンド
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窪田順生2023.9.28 6:00

■マスコミの「変わり身の早さ」は通常運転
 マスコミの「ジャニーズ叩き」が叩かれている。

 ご存じのように、テレビや新聞は「週刊文春」がジャニー喜多川氏の性加害疑惑を報道した時も、元フォーリーブスの北公次さんがジャニー氏から受けた被害を告発した際にも「黙殺」をしている。

 にもかかわらず、イギリスのBBCがこの問題を取り上げた途端、「あらゆる性加害を許さない」と態度を急変させて、ジャニー喜多川氏を厳しく断罪し始めた。そのあまりの変わり身の早さに対して「気持ち悪い」「卑怯」などと嫌悪感をあらわにする人が続出しているのだ。

 ただ、マスコミを擁護するわけではないが、これはあまりに気の毒だと言わざるを得ない。

 自分がこれまでやってきたことの責任も取らず、自己検証もせず、「あれ?私そんなこと言ってましたっけ?」とすっとぼけて、その時にもっとも力をもつ勢力にすり寄るということは、テレビや新聞がこれまでずっとやってきたことである。むしろ「平常運転」と言ってもいい。

 記憶に新しいのは、「東京2020」だ。誘致当初マスコミは多額のテレビ放映権料を払っていた手前もあって、「東京オリンピックで日本経済は復活だ!」「日本をひとつに」と五輪に興味のない人たちが辟易するほどゴリ推しをしていた。

 しかし、開催直前に不祥事が多発して、新型コロナウイルスが流行するや否や「中止にすべき」と手のひら返しで、IOCや大会組織委員会をボロカスに叩き始めたのである。その後、紆余曲折があって「無観客」で開催されることが決定したら、またしても手のひら返しで「感動をありがとう!」「東京五輪やっぱり最高!」と朝から晩まで大ハシャギしていた。

 この無節操な振る舞いを見てもわかるように、「手のひら返し」はマスコミの真骨頂である。「前言撤回」と「朝令暮改」を繰り返してここまでずっとやってきた。社会も容認してきた。それがここにきて急に「けしからん」「恥を知れ」とボロカスに叩かれる。マスコミ側からすれば、それこそ「手のひら返し」だと困惑していることだろう。

 という話をすると、「貴様はバカか!本当のマスコミというのはブレることなく社会正義を貫いて、権力の不正や腐敗を監視するものだ」と不快になる方も多いだろうが、それは残念ながらテレビやマンガの見過ぎだ。

 確かに、マスコミはそういう美辞麗句を並べたてるが、それはあくまで役所の前とかに立てられている「人権を守りましょう」という看板に似た「スローガン」にすぎない。現実のマスコミはブレることなく「手のひら返し」を繰り返し続ける運命にある。

 なぜかというと、現在のマスコミは「手のひら返し」がつくったと言っても過言ではないからだ。

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