立浪竜は「長い暗黒時代」に突入したようだ。9月10日の巨人戦を落とした時点で、3年連続Bクラスが確定。128試合を消化した同14日時点で48勝76敗4分け、5位東京ヤクルトとは3ゲーム差だが、地元・名古屋でも2年連続最下位を予想する声が強くなってきた。

 しかし、「低迷」を通り越して、「暗黒時代に突入」と言われるようになったのは、最下位だけが理由ではない。チームの近未来を担う若手たちを育成する二軍もボロ負け状態だからである。

「中日の二軍は投手の管理・育成がなっていないのではないでしょうか? 将来のエース候補と目されていた、高卒ルーキーの森山暁生(18)がいきなり中6日のローテーションで投げてきたと思えば、そのまま故障してしまいました。原因は体力不足から来た無理によるものというのです」(名古屋在住記者)

 7月15、16日のことだ。体調不良者が続出し、「人数不足」で試合が中止になっている。森山の故障もそうだが、ファームにおける選手管理に疑問の声が出始めたのもちょうどそのころだという。

 中日二軍の成績は、9月14日のオリックス二軍との公式戦を終えた時点で29勝62敗9分け。勝率は3割1分9厘、セ・リーグ首位打者の宮崎敏郎(35=DeNA)の打率が3割3分3厘だから、それよりも低い「勝率」ということになる。

「ファームは勝敗よりも育成重視」とはいうものの、ウエスタン・リーグで「勝率5割」を切っているのは中日だけだ。「一軍は最下位、ファームも一人負け」では、ファンがチームの未来に夢を持てないのも当然だろう。

「ファームを任されているのは、片岡篤史二軍監督(54)です。選手の管理、とくにピッチャーのことで立浪和義監督(54)とコミュニケーションが取れていないのではないかと危惧する声が出ています」(地元メディア関係者)

 立浪監督と片岡二軍監督の関係は、PL学園時代から続いてきた。両者の亀裂は考えにくいが、一軍首脳陣に関してはこんな情報も聞かれた。

「立浪監督とは必要最低限の連絡しか取り合っていないようです。立浪監督は試合が始まると『勝負師の顔』になります。一部選手は、近寄り難い雰囲気だと捉えているようでした」(前出・同)

 Bクラス確定だから負けてもいいというわけではない。指揮官の厳しさだろう。それが溝を作ったとすれば、解消法は「勝つ」ことだが、「勝ち続けること」ができないから、さらに溝が深まって しまう。
 厳しさといえば、8月25日のDeNA戦が思い出される。4番手で登板した近藤廉(24)が1イニング10失点と醜態を晒し、試合後、立浪監督は「なぜ、途中交代させなかったのか?」と記者団に質問された。

「明日の勝ちパターンを捨てたくなかったから。近藤には気の毒だったけど」

 ベンチに残っていた投手を登板させなかった理由を、そう述べていた。

「近藤を含め、同日登板した4投手全員を翌日にファーム落ちとしました。立浪監督の厳しさですよね」(ベテラン記者)

 近藤は今季初昇格だったが、一日でファーム帰還となってしまった。
 25日の試合で、「近藤が釣瓶打ちにされている間、声を掛けたのは宇佐見真吾(30)だけ。攻守交替でベンチに戻るときに出迎えたのは一部の選手だけだった」と“残酷さ”も伝えられたが、そうではなかった。近藤が投げている間、ベンチ裏では別のドラマも展開されていたのだという。

「クローザーのマルティネス(26)が『見ていられない、気の毒だ』と怒り、『オレが行く!』と、ブルペンに向かったんです」(関係者)

 すると、一部のコーチやスタッフが「やめろ」とマルティネスの腕を掴んだ。しかし、マルティネスは振り切り、ブルペン投球を始めた。
 そのやり取りは立浪監督の耳にも届いていたそうだ。目はマウンドで苦しむ近藤のほうに向けられたままだったが、そのときの指揮官の無言が近藤を出迎えるのを躊躇わせたというのが大方の見方である。

デイリー新潮編集部
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