W杯順位決定戦総合19位でアジア勢1位となり、1976年モントリオール大会以来、48年ぶりの五輪自力出場を決めたバスケットボール男子日本代表。

 今大会はトム・ホーバス・ヘッドコーチ(HC=56)のもと、PG河村勇輝(22=横浜BC)を起点に米国出身のジョシュ・ホーキンソン(28=渋谷)、全米大学体育協会(NCAA)一部のネブラスカ大でプレーする富永啓生(22)らがチームが重視する3ポイントシュート(3P)を決め、史上最多の3勝をマークする快挙を成し遂げた。

 今回、本場米国でプレーする選手はNBAサンズの渡辺雄太(28)と富永のみ。日本を代表するNBAプレーヤーの八村塁(25=レイカーズ)は7月に名門球団と3年総額約73億5000万円で再契約し、コンディショニングを重視して出場を辞退した。

 3日の会見で五輪本番の八村招集について聞かれたホーバスHCは「彼が入ってほしいのは当たり前」としながらも「彼が来るならうちのバスケをやらせる。でも、やらないならこのメンバーでいいチームをつくる。自信はあります。彼がやりたいんだったら、彼から声をかけたらいい」と、本人の意思に任せる意向を明かした。

 あくまでも日本代表のバスケに合わせたプレーをするのが条件。それができないなら、今のメンバーで戦うというのだ。問題はホーバスHCが掲げるバスケに八村が合致するかどうか。

 NBAやMLB、NFLなど米プロスポーツの中継で実況を務めるスポーツキャスターの近藤祐司氏がこう言う。

「昨季途中、レイカーズに移籍した八村は、現代のNBAで重視される3&D(3Pとディフェンス)で目を見張るような成長を遂げただけに、ホーバスHCの戦術にフィットするはずです。ウィザーズやレイカーズでは体を張った泥くさいプレーもいとわないだけにパリ五輪で代表入りすれば、確実にチーム力は上がるでしょう」

 しかし、ホーバスHCは三顧の礼を尽くしてまで八村を代表に招集する気はない。「彼から声をかけたらいい」と言い放ったのは、規律を重んじるホーバスHCが八村が加入することでチームの和が乱れるのを懸念しているからではないか。

「八村にはNBA屈指の名門球団でプレーしているプライドがある。それを頭ごなしに否定しても問題が生じるし、尊重し過ぎてもチームのまとまりや戦術に影響する。ホーバスHCがどううまくハンドリングするかでしょう。扱いを間違えれば、ホーバスジャパンにとって八村の存在が火種になりかねない」(バスケットボールライター)

 ホーバスHCの腕の見せどころである。

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